2025年版|不動産投資会社ランキング21選【比較表】 >

当サイトはプロモーションが含まれています

再建築不可の空き家は売れる?|売却・活用・補助金・税金・解体の要点

再建築不可の空き家は安く見えても、売却・活用・解体・税の順序や下調べを誤ると損失が膨らみます。

本稿では、〈法上の道路と接道の確認〉→〈売却(現況渡し・隣地・買取)〉→〈活用(駐車場等)〉→〈解体/補助金〉→〈税・相続〉の流れで、必要書類と実務の勘どころを平易に整理。迷わず“出口”を決めるための最短ルートを提示します。

 

再建築不可の空き家を理解する

再建築不可の空き家は、老朽化という建物課題に加え、〈建築基準法上の道路に有効2m以上接していない〉〈前面が2項道路で後退(セットバック)が必要〉〈私道の通行・掘削承諾が未整備〉など敷地由来の制約が重なりやすい状態です。

その帰結として、①建替え・増築が進めにくい、②流通の間口が狭い、③金融・保険・工事で追加条件が付きやすい、という三重のハードルが生じます。

 

他方で、価格が抑えられがち・工夫次第で小規模に収益化できる、といった面もあります。第一歩は「見える道」ではなく「法上の道路」かどうかの判定。

接道2mの可否、道路幅員、後退線、境界、承諾、インフラ(上下水・電気・ガス)を、役所資料と現地実測の両輪で照合しましょう。

 

  • 判断軸→評価・売却・活用は「道路種別×接道2m×承諾×建物状態」でほぼ決まります。
  • 裏付け→道路台帳・位置指定図・測量図・写真を突き合わせ、根拠を文書化。
  • 投資目線→出口(売却/活用/解体)を並走で比較し、費用と期間を可視化。

 

論点 確認事項 影響ポイント
道路・接道 法区分、接道2m、幅員、後退線 建替え可否・配置計画・査定に直結
私道承諾 通行/掘削/占用の書面範囲 引込・工事の可否、再販性に直結
境界・測量 筆界、越境、最狭部、高低差 価格調整、隣地交渉の要否に影響
建物状態 雨漏り・腐朽・落下/転倒リスク 安全対策・保険・活用選択に影響

 

最初に押さえる3点
  • 法上の道路か→図番付き資料で根拠化。
  • 最狭部の有効幅→門塀・電柱等を控除して実測。
  • 承諾と境界→通行/掘削の書面と筆界の有無を確認。

 

再建築不可と空き家の基本関係

「再建築不可」は厳密な法用語ではなく、実務で“建物を壊して新築する際に建築確認が原則取りづらい敷地”を指す呼称です。「空き家」は、長期不使用や管理不足で安全・景観に懸念がある建物/敷地の総称。

両者が重なると、①接道・道路種別・後退がネックで建替えに進みにくい、②修繕や引込工事に承諾や動線の制限が生じがち、③流通時に買主層が限定されやすい、という影響が出ます。

 

対処は二段構え—建物側(安全・管理・保険)と敷地側(位置指定・接道確保・後退・承諾整備)を併走させること。

大事なのはラベルではなく「事実」。道路・接道・承諾・境界・建物状態を第三者が追認できる資料で示せるかが、価格と期間、リスクを左右します。

 

  • 空き家×再建築不可=「建物課題」+「敷地課題」の複合と理解。
  • 出口は〈活用〉〈売却〉〈解体〉の三択→費用/期間/合意難度で最適化。
  • まずファクト整備(図面・写真・承諾・測量)→交渉の共通土台に。

 

側面 主な課題 対応の方向性
建物 老朽・安全・防犯・保険 点検→応急養生→優先補修、賠償でリスク移転
敷地 接道不足・幅員不足・承諾未整備 位置指定・後退・隣地取得/地役権・書面化
流通 買主層が狭い・金融/工事制約 是正案提示、用途別募集、買取/隣地売却の併用

 

混同しないための注意点
  • 「見た目の道」≠道路→法上の道路かで判定。
  • 接道2mは“有効幅”で判断→門柱・支線・メーターを控除。

 

接道と道路種別の影響ポイント

売却・活用・解体の可否は、道路種別と接道条件が決定打です。42条1項道路(道路法の道路、都市計画道路、既存4m以上、位置指定道路等)は、〈幅員4m以上×接道2m以上〉が満たせれば計画自由度が高く、流通もスムーズ。

42条2項道路(みなし道路)は、中心線から2mの後退が前提で、後退部分は原則建築不可扱いとなり有効宅地が減少します。

私道では、法上の道路か否かに加え、通行・掘削・占用の承諾書面がボトルネックになりがち。査定は「道路種別→接道2m→私道承諾→後退量→最狭部障害物」の順に影響が強いので、方針もこれに沿って組み立てると筋が通ります。

 

  • 1項道路→4m以上+2m接道が基本。建替え・配置の裁量が大きい。
  • 2項道路→後退前提。後退後の有効面積と外構再配置を先に試算。
  • 私道→通行/掘削/占用の常時性を“書面”で担保するのが要。

 

道路種別 特徴 売却・活用への影響
42条1項 原則4m以上、位置指定含む 接道2mを満たせば建替え・融通が利きやすい
42条2項 4m未満、中心後退が必要 有効宅地が減少→配置の工夫が必要
私道(指定外) 承諾・管理の実態に依存 通行/掘削/占用の書面化が鍵

 

確認手順のコツ
  • 台帳で「道路種別・中心線・後退線」を特定→図番/作成年月日を記録。
  • 現地で最狭部を実測→障害物を寸法入り写真で保存。

 

売却や活用に効く現地確認

現地確認は「最狭部の有効幅→道路幅員→障害物→承諾→境界→インフラ→建物安全」を一筆書きで点検し、写真+寸法で可視化するのがコツ。幅員は複数点で測り、2項道路の後退線は台帳で裏取り。

私道なら通行/掘削/占用の承諾見込みを管理者・共有者へ確認。境界は現況測量で筆界・越境・高低差を把握し、後退線との関係をスケッチに落とします。

 

インフラ(上下水・ガス・電気)の引込位置と更新可否、建物は落下・転倒・漏電など危険箇所を優先点検。

これらを「図面・写真・承諾・見積」に束ねると、買主や活用パートナーが同じ結論に達しやすくなり、交渉速度も上がります。

 

  1. 接道ライン特定→始点/終点を決め、最狭部を実測して寸法追記。
  2. 道路幅員を複数点で測定→後退線は台帳で裏付け。
  3. 私道承諾→通行/掘削/占用を区分し、同意者と書面化の見込みを確認。
  4. 境界・越境→現況測量と写真で整理、復旧範囲を図示。
  5. インフラ・安全→引込位置と危険箇所を点検し、応急養生を実施。

 

確認項目 見るべき点 資料化のポイント
最狭部2m 門塀・支線・メーター控除後の有効幅 寸法入り写真、位置スケッチ
道路幅員 対向側までの距離を数点で計測 後退線根拠図と整合を確認
承諾 通行/掘削/占用を区分し必要同意者を特定 承諾書雛形、連絡先一覧、復旧仕様案
境界・越境 杭・塀・樹木・排水位置 現況測量図+写真で範囲明示
インフラ/安全 桝・配管・電気・ガス、落下/転倒/漏電 位置図・点検表・養生記録

 

現地調査の持参物(抜け漏れ防止)
  • メジャー/レーザー、チョーク、寸法追記できるスマホ。
  • 案内図、過去図(台帳/測量)、承諾書雛形、養生テープ。

 

売却の選択肢と進め方を整理する

再建築不可の空き家は「誰に」「どの条件で」売るかが成果を左右します。現況渡しの一般流通、事業者買取、隣地へのピンポイント売却・一部譲渡、自治体の空き家バンク活用など、チャネルごとに準備と強みが異なります。

まず接道・道路種別・後退線・私道承諾・境界(越境含む)・インフラ状態を事実で確定し、説明資料を一式化。

次に、価格×速度×手間のバランスでチャネル選定し、募集設計(価格帯、想定買主、是正の開示)を具体化。現実的な出口から先に試し、反応と費用対効果を見て射程を広げるのがコツです。

 

  • 事実確定→道路・接道2m・境界・承諾・配管を資料化し一括保管。
  • チャネル比較→速度・価格・手間を数値で並べ優先順位を決定。
  • 募集設計→用途想定と必要是正を明記し、ミスマッチを回避。

 

売却チャネル 向く状況 準備の要点
現況渡し(仲介) 時間に余裕、価格最大化を狙う 瑕疵/是正要否の開示、役所照会・測量・写真台帳
事業者買取 スピード重視、手間を抑えたい 最低許容価格の設定、承諾・越境の一次整理
隣地/一部譲渡 接道・形状改善の便益が大きい 境界確定、復旧範囲と費用分担の合意案
空き家バンク 地域ニーズ・DIY層に訴求 写真・図面・課題開示、案内動線の整備

 

最短で進める基本順序
  • 裏取り(役所照会・測量・写真)→チャネル選定→募集設計の順で固める。

 

現状有姿売却と買取の使い分け

現状有姿は一般の買主に仲介で募集し、基本“今のまま”で引渡す方法。最適な買主に当たれば価格は伸ばせますが、役所照会・私道承諾・境界・インフラ・後退/越境の是正要否などの開示が曖昧だと検討が止まりがちです。

買取は事業者が現況前提で迅速に買い取る方式で、手間や契約不適合責任の負担を抑えつつ短期で現金化できますが、価格は抑え目になりやすい。

判断軸は「速度・価格・手間」。まず買取査定で“底値”を把握し、一定期間は仲介で上振れを狙う二段構えが実務的です。

 

  • 現状有姿→価格は伸びやすいが、開示資料と内見対応の負担が増える。
  • 買取→価格は控えめだが、スピード・手離れ・与信リスクの低さが強み。
  • 併用→底値を掴みつつ、反応を見て仲介で上積みを狙う。

 

観点 現状有姿(仲介) 事業者買取
価格 買主が見つかれば上振れ余地 速度と引き換えで抑え目
速度 案内・審査で時間がかかる 短期決済が可能
手間/リスク 開示・調整・修繕交渉の負担 手間小さく、責任も限定的

 

判断の目安
  • 余裕がある→現状有姿で最大化。急ぐ→買取で確実に現金化。

 

隣地売却・一部譲渡の実務ポイント

隣地は接道確保・敷地形状改善・駐車動線の確保など便益が大きく、他の買主より高評価を示すことがあります。

肝は、境界確定と復旧条件の明文化。現況測量→筆界確認→越境の有無→復旧範囲(塀・舗装・排水・植栽)を図面と写真で特定し、費用分担と工程、引渡条件(仮設・騒音・通行動線)を合意。

 

一部譲渡では分筆/地役権の要否、後退線や接道2mの成否、インフラの取り回しを事前整理し、将来の建築・再販に支障のない設計へ。

価格は「相手の便益(建替え可・配置改善・駐車可)」を数値化して提案し、通行地役権のみ等の代替案も用意して交渉余地を確保します。

 

  • 境界・越境→図面×写真で復旧範囲を明確化し、契約書に落とす。
  • 手続設計→分筆/地役権/後退の要否を先に洗い出す。
  • 価格観→便益の見える化+復旧費用の相殺案で合意を後押し。

 

論点 実務ポイント 資料例
境界・越境 測量→筆界確認→復旧範囲の合意 現況測量図、筆界確認書、復旧仕様書
手続設計 分筆/地役権/後退の組合せを決定 法務局図、役所照会記録、配置案
価格と便益 建替え可・駐車可等の便益を数値化 対比表、工程表、費用分担表

 

つまずきやすい注意点
  • 「舗装端=境界」の思い込み→台帳×測量で必ず裏取り。
  • 復旧の曖昧さ→塀・舗装・排水の仕様と写真基準を契約に明記。

 

空き家バンク活用と募集設計のコツ

空き家バンクは、自治体等が情報を集約し、移住者・地域志向・DIY層へマッチングする仕組み。再建築不可でも、条件が合えば検討者に届きやすく、相談窓口や補助メニューと連携しやすいのが利点。

成功の鍵は「募集設計」。接道・道路種別・後退線・私道承諾・越境・インフラ・必要是正と費用目安を、写真・図面・チェックリストで明快に開示。

 

ターゲット(隣地・地元事業者・移住希望・DIY)ごとに、見せるべき写真(外観全景→最狭部→内部の“使える部分”)と、内見動線・禁止事項・注意点(段差・危険箇所)を整備。

価格は相場+是正コストを前提に、補助金や景観・防火等の地域ルールも併記すると信頼が高まります。

 

  • 課題と対処方針を同時提示(例:後退必要→図と費用帯)。
  • 写真は「全景→課題→活用余地」の順で期待値を調整。
  • 窓口/地元業者と内見日程・鍵管理を標準化。

 

項目 掲載・案内の要点 効果を高める工夫
物件情報 接道・道路・承諾・越境・インフラを明示 チェックリスト化しPDF配布
写真・図面 最狭部・後退位置・内部状態の見える化 寸法入り写真、簡易配置図を添付
内見運用 動線・禁止事項・安全配慮の提示 立会いマニュアル、危険箇所の表示

 

反響を伸ばす小ワザ
  • 課題は隠さず、是正案と費用帯を併記して安心感を醸成。
  • ターゲット別にタイトルと説明文を最適化(DIY/隣地など)。

 

空き家の活用アイデアと収益化

建替えが難しくても、「確認不要/軽微な手続で済む使い方」や「既存建物をそのまま活かす使い方」なら、現実的に収益化を狙えます。

接道・道路種別・後退線・私道承諾・境界・インフラを把握し、できる/できないを切り分けた上で、立地需要(駐車、ストレージ、短期利用等)を簡易調査。

 

初期費用・運営負担・想定収益を並べ、①土地利用型(駐車場・資材置場)②軽微な建物利用型(物置・ストレージ)③期間限定/用途限定型(撮影、イベント、短期貸し)を候補に検討。

近隣配慮(騒音・動線・照明)と保険(火災・賠償)を先に設計すれば、稼働後のトラブルを抑えられます。

 

  • 現況の事実を資料化→活用の上限を把握。
  • 需要×初期費用×運営負担×収益で“割に合う”案から着手。
  • 近隣・安全・保険を同時設計→クレームと事故の予防に。

 

活用タイプ 向く立地・条件 初期対応
駐車場/資材置場 駅距離中庸・戸建エリア・工務店需要 簡易舗装/区画/照明/注意書き整備
物置/ストレージ 住宅密集地・小商圏・雨風をしのげる建物 防水・施錠・結露対策・賠償保険
短期貸し/撮影 レトロ・古民家・静穏路地 利用規約・時間帯制限・近隣説明

 

活用前チェック(最短で失敗を防ぐ)
  • 必要な承諾/手続(私道通行・掘削、看板、占用など)の有無。
  • 安全対策(照明・段差・老朽箇所)と施設賠償の付保。

 

駐車場・物置・ストレージの実装

駐車場化は、新築確認を伴わず始めやすい定番。月極/時間貸しを選び、区画サイズ(軽/小型/普通)、最狭部、照明、車止め、注意看板(騒音・アイドリング・ゴミ禁止)を整えます。

路地が狭い場合は軽専用やバイク/自転車区画に切替えると稼働が上がります。既存建物を活かす物置・ストレージは、屋根・外壁・床の健全性、雨漏り、結露、換気、施錠、動線の安全を点検。

 

賃貸規約では危険物/臭気物/現金の保管禁止、利用時間、ゴミ持帰り、破損時の賠償範囲を明記。

料金は周辺相場(1畳/月や区画/月)とアクセスで設定し、立上げ期はキャンペーン(初月無料・長期割)で集客を後押しします。

 

  • 駐車場→区画割(目安2.5m×5.0m)、車止め、ライン、照明、注意掲示を設置。
  • バイク/自転車→盗難対策としてチェーンフック・簡易カメラ・夜間照明。
  • 物置/ストレージ→防水補修・換気(通気/除湿)・施錠(二重ロック)。

 

項目 実装ポイント 注意点
区画設計 最狭部や旋回を実測、軽専用/斜め区画も検討 電柱・段差・花壇で有効幅が狭まらないか
防犯 照明・人感センサー・簡易カメラ 近隣窓への光漏れ配慮、死角削減
規約 利用時間・禁止物・鍵管理・賠償範囲 苦情窓口と緊急連絡先を明記

 

収益化を安定させるコツ
  • 小さく始める→2〜3区画/数室から稼働を見て拡張。
  • コストは区画単位で把握→清掃・照明・修繕を月額に織り込む。

 

短期貸し・撮影利用などの選択肢

短期貸し(時間/日貸し)・撮影利用は、建物の個性を活かしたマネタイズ。レトロ内装や古民家は撮影やワークショップ、ポップアップで需要が見込めますが、近隣配慮は必須。

まず利用時間(例:8:00〜20:00)、最大人数、音量目安、ゴミ処理、喫煙可否、駐車台数を明文化。

 

安全は床のたわみ・手すり・段差・天井材の剥落を点検し、立入禁止表示や仮設養生で事故予防。掲載は魅力写真に加え、欠点(狭いトイレ、段差、旧式空調)も正直に記載しミスマッチを減らします。

料金は平日/週末・人数・撮影/イベント別に設定し、最低利用時間とキャンセル規定を明確に。近隣へは事前通知(時間・台数)を配布し、苦情窓口を一本化します。

 

  • 用途別ルール(撮影/WS/日貸し)と禁止事項を明確化。
  • 老朽箇所の補修、立入禁止表示、夜間照度の確保。
  • 予約台帳・鍵管理(キーボックス等)・清掃チェックの標準化。

 

論点 実務ポイント トラブル予防
時間/音 音量目安・終了時刻・楽器可否を明示 掲示と違反時の対応手順を規約化
人数/設備 最大人数・電源容量・水回り 容量超過の注意表示、予備電源の準備
鍵/清掃 鍵受渡し、退出時の原状回復 チェックリストで退去確認を省力化

 

短期貸しで注意したい点
  • 音と車両→時間帯・台数制限を先に周知。
  • 告知と現地の差を最小化→欠点も写真で明記。

 

解体・補助金・税制の要点を押さえる

売却や活用と並行して「解体」「補助金」「税制」の3本柱を押さえると意思決定がぶれません。

解体は、現地調査→見積比較→届出→近隣説明→分別・搬出→原状復旧が基本で、費用は構造・規模・立地・アスベスト有無で上下。

 

補助金は自治体ごとに要件/上限/時期が異なるため、交付決定前の着工は避けるのが鉄則。税制では、住宅があると適用される「住宅用地特例」が、特定空家指定や解体で外れる可能性があり、賦課期日(毎年1月1日)を意識した工程設計が有利に働きます。

工程・費用・補助・税影響を一枚表にし、申請・交付・賦課期日の締切をカレンダー化しましょう。

 

  • 解体→同条件で3社以上見積。構造・分別・搬出条件をそろえる。
  • 補助→交付決定前着工NG、相見積、名義/同意の不備に注意。
  • 税→住宅用地特例の有無、特定空家リスク、賦課期日を確認。

 

領域 要点 初手
解体 構造・面積・接道・アスベストで費用変動 現地立会い、同条件見積
補助金 対象・上限・時期が自治体で異なる 要項入手→交付決定前着工NG確認
税制 住宅用地特例/賦課期日の影響 年度またぎの工程設計

 

迷わない進め方(3本柱)
  • 工程表に〈見積〉〈補助申請〉〈賦課期日〉を統合管理。
  • 現況写真・平面・面積・構造・危険箇所を根拠資料に束ねる。

 

解体の見積・工程と費用の目安

解体費は「構造(木造/軽量鉄骨/RC)」「延床」「搬出条件(間口・道路幅・車両可否)」「分別手間」「アスベスト」で大きく変動。

目安は木造約3〜5万円/坪、軽量鉄骨約4〜7万円/坪、RC約7〜12万円/坪。狭小間口・密集地・残置多・地中障害があると上振れ。

 

工程は、①現地調査(境界・越境・インフラ止栓)②見積(仮設・養生・分別・運搬・処分の内訳比較)③届出(建設リサイクル法規模、アスベスト事前調査/届出)④近隣説明⑤分別解体・搬出⑥整地・写真提出が定番。

比較の肝は「同条件化」—残置処分、仮設(足場/防音シート)、重機有無、養生範囲、追加費の発生条件(地中障害)を合わせましょう。

 

  • 注目内訳→仮設養生、分別、運搬距離、処分単価、整地仕様。
  • リスク→アスベスト、地中障害、残置量、道路幅不足。
  • 近隣対策→工期・時間帯・連絡先掲示、粉じん/振動対策。

 

構造 費用目安 増額要因
木造 3〜5万円/坪 狭小・残置多・手壊し・搬出距離長
軽量鉄骨 4〜7万円/坪 金物多・切断作業増
RC造 7〜12万円/坪 はつり手間・重機制限・処分費

 

見積比較で外さないチェック
  • 同条件化(残置/養生/運搬距離/整地/追加条件)。
  • 着工前後・分別中・整地後の写真で実績照合。

 

補助金・助成金の探し方と申請準備

除却補助は自治体メニューが中心(名称は「老朽空家等除却」「危険空家除却」など)。上限/補助率(例:1/3〜2/3)、対象要件(老朽度・特定空家相当・接道/危険度・市税滞納なし等)、対象経費(本体/付帯)の線引きは自治体で異なります。

最短手順は、要項入手→対象/対象外・上限・期間の精読→窓口で適合性と必要書類を確認→現地写真・見積・図面・登記事項を整えて交付申請。

留意は「交付決定前着工は原則対象外」「相見積が条件の自治体あり」「名義や同意不足の差戻し」。申請〜交付〜実績報告のスケジュールを売却/解体と同期させ、待機コストを抑えましょう。

 

  • 要項→対象要件・上限額・対象経費・スケジュール。
  • 書類→登記事項・身分証・現況写真・見積・図面・税滞納無証明等。
  • 流れ→交付決定→契約→着工→中間/完了→実績報告→交付請求。

 

段階 やること つまずきやすい点
事前確認 対象/対象外の精読、適合性の照会 交付前着工、名義相違
交付申請 必要書類提出、見積要件の確認 相見積不足、写真条件不備
工事〜実績 着工届、写真、領収整理 撮影漏れ、名義違い、未届変更

 

成功率を上げるコツ
  • 交付“決定書”日付を基準に工程化→決定前着工は避ける。
  • 写真チェックリスト(正面・側面・内部・分別・整地後)で漏れ防止。

 

固定資産税特例と評価の基礎知識

税で要となるのは「住宅用地特例」と「賦課期日(毎年1月1日)」。住宅がある土地は小規模住宅用地(〜200㎡)で課税標準の大幅軽減を受けますが、「特定空家等」指定や更地化で翌年度から外れる可能性。

工程では賦課期日を踏まえ、年内/翌年解体で翌年度税額がどう変わるか試算を。

 

評価は、固定資産税評価額・課税明細・路線価・地積・現況(セットバック・私道負担)を突き合わせ、最低限の管理や危険箇所是正で特定空家回避を先行。

固定資産税と都市計画税の二本立てにも留意し、金融・補助スケジュールと併せて解体時期を決めましょう。

 

  • 住宅用地特例→建物ありで軽減。特定空家や更地化で喪失の可能性。
  • 賦課期日→1/1現況が年度課税を決定→年跨ぎを工程に反映。
  • 評価の突合→評価額・路線価・面積・私道負担・後退の要否を整合。

 

現況 住宅用地特例 実務の着眼点
住宅あり 小規模で軽減大 維持管理で特定空家指定を避ける
特定空家等 特例喪失の恐れ 危険箇所の是正・指導履行
更地 原則特例なし 解体時期と翌年度税額を試算、活用計画と連動

 

税負担を読み違えないコツ
  • 解体タイミングで翌年度税が変動→賦課期日ベースで工程設計。
  • 特定空家指定の回避→最低限の管理と危険箇所の是正を優先。

 

相続・登記・管理でリスクを減らす

相続・登記・日常管理のどれかが滞ると、売却・活用・解体の意思決定は止まり、固定費(固定資産税・保険・草刈り等)だけが積み上がります。

まず、権利関係を「誰が・どれだけ・どの方法で」持っているか見える化し、相続登記の進捗と連絡体制(代表者・決裁方法)を決定。

並行して、危険箇所(瓦落下、傾いた塀、腐朽庇)の点検、草木・害虫・不法投棄対策、郵便管理をルーティン化。

 

自治体の指導基準に照らし、管理不全や「特定空家等」に該当しない状態を維持しましょう。

将来の出口に備え、道路・接道・後退・承諾・測量・写真・見積・補助書類を「探せる単位」でファイル化すると、意思決定の速度が変わります。

 

  • 権利の見える化→相続関係図・持分・連絡体制・決裁ルールを明確に。
  • 管理の定例化→危険箇所点検・草木剪定・郵便転送・巡回記録を月次運用。
  • 資料の一元化→道路/境界/承諾/見積/写真を分類保管、更新日を記録。

 

領域 まずやること 予防ポイント
権利・登記 相続関係図、分割方針の共有 代表者選任、締切と合意プロセスを文書化
日常管理 危険箇所チェック、草木、郵便転送 写真で履歴管理、是正の優先順位化
資料管理 道路・境界・承諾・測量・見積の整理 フォルダ構成とファイル命名の統一

 

はじめの三手(迷わない順序)
  • 相続・持分と連絡体制を確定→意思決定を一本化。
  • 危険箇所の是正と巡回ルール→「特定空家」リスクを低減。
  • 出口用資料を一式ファイル化→更新日と担当を記載。

 

相続登記と権利関係の整え方

詰まりやすいのは「誰が意思決定できるか不明確」な点。戸籍・除籍・改製原戸籍を収集し、相続関係説明図で相続人(法定・代襲)を確定。相続財産一覧を作り、当該不動産の登記事項で現名義と相続後名義の差を明確化。

遺言があれば検認/公正証書の確認、なければ遺産分割協議書で持分割合と管理・費用負担・代表者(窓口)を決定。

 

相続登記の申請書類(登記原因証明情報、相関図、固定資産評価証明書等)を整え法務局へ。共有のままだと売却・承諾・解体のたびに署名押印が必要で実務が重くなります。

将来の出口を見据え、代表者(管理人)選任や持分整理(少数持分の扱い)を初期合意しておくと手戻りを抑えられます。

 

  • 相続人確定→戸籍一式収集、相関図で可視化。
  • 方針決定→遺言の有無を確認、なければ協議書で持分・代表者を決定。
  • 登記申請→登記事項・評価証明・原因証明情報を準備し申請。

 

段階 やること コツ
相続人確定 戸籍収集・相関図作成 代襲相続の有無を丁寧に確認
協議・合意 協議書で持分/代表者を明記 管理・費用分担・連絡手順を条文化
登記申請 原因証明・評価証明を添付 事前に法務局で下書き確認

 

権利整理で失敗しないポイント
  • 「誰が決めるか」を先に決め、決裁ルールを合意書に明記。
  • 共有で運用する場合は、売却・解体の同意取得方法も条文化。

 

管理不全や特定空家の回避策

路地が狭い・袋地といった立地特性から、倒壊・落下・雑草・害虫・不法投棄・放火リスクが高まりやすいのが再建築不可の空き家。

管理不全が続くと、助言→指導→勧告→命令と段階が進み、住宅用地特例が外れる可能性も。回避の骨子は「定期点検」と「即応是正」。

 

屋根・外壁・庇・塀・樋・開口部の破損、傾き/ぐらつき、越境枝・景観悪化、郵便滞留、防犯/照明を点検票で管理し、危険箇所は仮設養生→修繕を優先。

外周は段差養生、注意看板、夜間照明、火気・喫煙注意、鍵・柵の施錠を実施。近隣には連絡先を周知し、苦情受付の一本化で初動を早く。

自治体の空家対策窓口を活用し、基準への自己点検を定例化しましょう。

 

  • 点検→屋根・外壁・庇・塀・通路・照明・郵便・越境を定期確認。
  • 是正→落下/転倒/漏電など高リスクから仮設→修繕。
  • 周知→近隣・自治体窓口・巡回業者の連絡先を明記し、窓口を一本化。

 

領域 チェック項目 運用ヒント
建物 屋根/庇/外壁の破損、傾き、雨漏り 養生→修繕の優先順位を記録
外周 塀のぐらつき、段差、夜間の暗部 養生材・照明追加、注意看板
防犯 施錠、侵入痕、郵便滞留、放置物 鍵管理表、郵便転送、巡回頻度設定

 

“特定空家”を避けるための要点
  • 危険・景観・衛生の三点を優先是正し、写真でエビデンス化。
  • 自治体の点検票に沿って自己点検→適合状況を可視化。

 

書面・写真で残す調査と記録化

相続・売却・活用・解体の成功率は、「第三者が同じ結論に至れる資料」があるかで決まります。

道路台帳写し・位置指定図・後退線根拠、現況測量図(境界・最狭部・高低差)、通行/掘削/占用承諾、インフラ位置(上下水・ガス・電気・桝)を一式保管。

写真は「全景→接道最狭部→外周→内部→危険箇所→是正後」の順で、撮影日/場所/寸法注記を入れて台帳化。

 

点検・是正はチェックリストで「いつ・誰が・何を確認/実施」を残し、見積・請求・領収は工事項目ごとに紐づけ。

共有者や将来の買主・検査機関に、資料だけで判断できる状態を作ることが、交渉スピードと価格安定に直結します。

 

  • 写真台帳→撮影日・場所・寸法・状況を統一フォーマットで管理。
  • 図面/承諾→原本/写しと図番・更新日を併記し、紙+PDFで二重保管。
  • 点検/是正→チェックリストと見積/領収を紐づけ、履歴を継続更新。

 

資料群 内容 管理のコツ
道路・境界 道路台帳、位置指定図、測量図、後退線根拠 図番/更新日/担当名を記録、紙+PDFで保管
承諾・協定 通行/掘削/占用承諾、管理協定、鍵運用規程 有効期限・範囲・連絡先を冒頭に明記
点検・是正 点検票、写真台帳、見積/請求/領収 工事項目ごとにフォルダ分け、年次棚卸し

 

資料整備で価値を上げる
  • “第三者が同じ結論”を目標に、証拠と根拠を一枚ずつ揃える。
  • 更新履歴(いつ・誰が・何を更新)を残し、継続管理の再現性を高める。

 

まとめ

再建築不可の空き家は、①接道・道路の事実確認、②出口の選定(売却/活用/解体)、③補助金・税・相続の整理、という三段構えで迷いが減ります。

根拠資料(道路台帳・測量・写真)を整え、隣地/買取/活用案を並行比較。費用と期間を見える化し、納得のいく決断へつなげましょう。