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借地権の相続で迷わない!承諾・評価・税金・登記を5領域で早わかり

借地権の相続は、承諾の要否・評価の算定・税金・登記の4点が成否を分けます。本記事は「基礎→手順→評価・税→制度→トラブル」の5領域で、必要書類と連絡の順番、費用の目安まで客観的に整理。迷わず円滑に承継できる実務の全体像を短時間で把握できます。

 

借地権の基礎

借地権は、他人の土地を使って建物を所有するための権利です。戸建てや長屋、借地権付きマンション(区分所有)など、物件種別により権利の持ち方や実務の手順が少しずつ異なります。

大枠では、更新を前提とする普通借地と、満了で返還する定期借地に分かれます。相続では、借地上の建物と借地権が一体で承継されるのが原則で、名義変更や地主への連絡順序を整えると手続きが円滑です。

取引形態として売買・相続・賃貸のいずれでも、契約書の条項(譲渡・転貸・増改築・承諾料・更新料)と、建物の登記状態が実務の成否を左右します。

 

マンションでは敷地権(借地権)の持分が専有部分と不可分で動くため、管理組合の書類確認が加わります。

土地(更地)だけを扱う場合でも、建物計画や用途地域によってリスクと許容コストが変わるため、地代水準や期間、更新の有無を先に押さえることが重要です。

 

借地権の種類と基本ポイント

借地権は大きく普通借地と定期借地に分かれ、期間や更新の考え方が違います。普通借地は長期の利用を前提に初回の存続期間が長めに設定され、その後の更新で引き続き使用できます。

一方、定期借地は満了で土地を返すのが前提で、更新や建替え更新を予定しないため、戸建て・マンション・事業用で出口設計が明確です。

 

戸建ての相続では、普通借地であれば建物と借地権をそのまま引き継ぎ、更新期や承諾条件を確認して居住継続を図ります。

借地権付きマンションでは、区分所有法の実務に沿って敷地利用権(借地権の持分)の承継が同期するため、管理規約や長期修繕計画との整合も見ます。

 

事業用の定期借地では満了時の原状回復や建物買取の特約有無が価格と投資回収の前提になります。

相続・売買いずれでも、契約条項の読み違いを避けるため、期間・更新・承諾・費用の4点は書面で確認し、将来の増改築や用途変更の可否も把握しておくと安全です。

 

【重要ポイント】

  • 期間と更新の有無→出口の明確化
  • 承諾の要否・費用→現金支出の把握
  • 増改築条項→資産価値・住み替え余地
  • マンションは管理規約→敷地権の運用

 

区分 期間の目安 更新・出口の考え方
普通借地 長期(初回長め、その後更新) 更新前提。更新料や条件は契約で確認
定期借地(一般) 長期(満了時返還) 更新なし。満了後は更地返還が基本
定期借地(事業用等) 中長期(用途に応じ設定) 更新なし。原状回復や買取条項を確認
建物譲渡特約付 長期(満了時に建物譲渡) 建物譲渡で土地返還の整理を図る

 

種類選択の着眼点
  • 「住み続けるか・出口で返すか」を先に決める
  • 契約条項で増改築・譲渡・転貸の制約を確認

 

借地権の相続承継の原則と例外

相続では、借地権と借地上の建物を包括的に引き継ぐのが原則です。地主の承諾は相続そのものには通常不要ですが、実務上は名義変更届や相続関係説明書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)を整えて通知すると、地代口座や承諾申請の今後のやり取りがスムーズです。

相続人が複数の場合は準共有となり、以後の更新・増改築・譲渡等は共有者の同意が必要になります。

 

戸建てでは、居住継続の可否と更新期、未払地代の清算が初動のポイントです。借地権付きマンションでは、敷地権(借地権の持分)が専有部分と不可分で承継されるため、管理組合への届出や名義変更手数料の要否を確認します。

定期借地は満了で返還される性質のため、相続しても更新期待は基本持てません。契約で「相続時の承諾料」や「名義書換料」を定める例はありますが、相続を理由に当然発生とは限らず、規定の有無と金額の根拠を確認して過大な支出を避けます。

地代滞納や無断増改築があると解除リスクが高まるため、承継直後に是正します。

 

【手順・ステップ】

  1. 契約書・図面・承諾関連の条項を精読→更新期・費用を把握
  2. 相続人の確定→遺産分割の方針決定(単独取得か共有継続か)
  3. 地主へ通知→名義変更届・必要書類提出→地代支払口座を切替
  4. 未払・預り金・敷金等の精算→増改築や建替え計画の承諾方針確認

 

地上権と賃借権の違い把握

地上権は物権で、土地を工作物のために使用する強い権利です。賃借権は債権で、契約相手に対する使用収益の請求権という位置づけです。売買・相続・投資のいずれでも、譲渡・転貸・担保設定・対抗力の扱いが異なるため、評価や金融の審査に直結します。

戸建ての実務では地上権は譲渡や担保設定が比較的柔軟で、第三者にも登記で対抗可能です。賃借権は原則として譲渡・転貸に承諾が必要で、第三者対抗は登記か、後述の建物登記による特例で補います。

 

マンションでは敷地権の多くが賃借権持分で運用され、管理規約が重畳して実務の意思決定に影響します。

投資では、賃借権の自由度の低さや更新・承諾料の負担がキャッシュフローに影響するため、出口と改修計画を同時に検討します。

 

観点 地上権 賃借権
権利性質 物権(対世的効力) 債権(相手方に対抗)
譲渡・転貸 原則自由(契約制限あり得る) 原則承諾必要(契約で明記)
対抗方法 登記で第三者に対抗可 登記または建物登記の特例で対抗
担保設定 抵当権等の設定が容易 金融機関の審査で制限あり
評価・流通 流通性が比較的高い 条項次第で価値が大きく変動

 

建物登記と対抗要件の関係

賃借権は通常、登記がなければ第三者に対抗しにくい性質ですが、借地では「自己名義の建物を土地上に登記していること」により、賃借権の登記がなくても第三者に対抗できる特例があります。

戸建てや長屋の相続・売買では、建物の表題登記・所有権保存登記を自分名義で備えているかが重要です。この特例は建物が滅失すると使えなくなるため、火災・建替え・取り壊しのタイミングでは、土地の明渡しや新たな承諾条件が争点になり得ます。

 

借地権付きマンションでは、専有部分の登記と敷地権の関係で第三者対抗力が整理されるため、管理組合の証明書類や規約に基づく運用を確認します。

プレハブ等の簡易建物でも、登記要件(恒久性・土地定着性)が満たされなければ特例の根拠が弱くなるため注意が必要です。

 

【重要ポイント】

  • 自分名義の建物登記→賃借権の対抗力を裏付け
  • 建物滅失時→特例喪失→更地状態での対抗に弱さ
  • 建替え時→承諾・条件・費用の事前確認が必須
  • マンション→専有登記と敷地権の同期を確認

 

実務上のリスク例
  • 未登記増改築→承諾争い・是正費用の発生
  • 未払地代の累積→解除請求・更新不調のリスク

 

なお、制度・税率・費用水準は地域差や契約差が大きいため、個別案件では契約書・登記・図面一式の精査と、専門家(司法書士・弁護士・不動産鑑定士)への相談を推奨します。

 

相続手続の手順

借地権の相続は、契約書の条項確認→相続人確定→地主への通知→名義変更と精算→将来の増改築方針確認、の順で整理すると迷いません。

戸建て・長屋では建物と借地権が一体で承継される前提を押さえ、自己名義の建物登記が対抗要件を補う点が重要です。

 

区分マンション(借地権付き)では、専有部分の登記と敷地権(借地権持分)が不可分に動くため、管理規約・管理組合手続も並行します。

土地のみを扱う場合でも、将来建築計画の可否や用途地域、建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)・容積率(敷地面積に対する延床面積の割合)が許容範囲かを先に確認します。

 

なお、相続登記の申請は義務化(2024年4月施行)され、原因発生から原則3年以内が目安です(記事時点)。

地代の未払や無断増改築など是正事項は、承継直後に精算・届出を行い、更新期や承諾料条項、譲渡・転貸の制限を事前に洗い出すと後工程が円滑になります。

 

全体フローの押さえどころ
  • 契約・登記・図面の三点突合→条項・境界・法令の整合
  • 相続人確定→遺産分割の方式決定(単独か共有か)
  • 地主へ通知→名義変更・地代口座・精算の一本化

 

契約書・公図・測量図の確認順序

最初に行うのは、契約書・登記・図面の三点突合です。借地契約書では、存続期間・更新、有償承諾(名義書換料・承諾料)、譲渡・転貸、増改築、地代改定、違反時の解除等の条項を読み、条文上の定義と実務運用の差をメモします。

登記事項(建物・区分建物・敷地権付記)では名義・権利部の整合を確認します。公図・地積測量図・確定測量図・地籍調査成果等で地番・筆界・面積を照合し、越境・工作物・私道の負担や地役権の有無をチェックします。

 

用途地域・建ぺい率・容積率、道路種別(接道)、高さ制限、日影規制など都市計画情報も合わせて確認します。

戸建て・長屋は現況と図面の差異が出やすく、未登記増改築や越境が後の承諾や是正費用につながりやすいです。

区分マンションでは、管理規約・使用細則、長期修繕計画、敷地権割合の根拠を添付書類で突き合わせ、専有部分の用途制限やリフォーム申請手順も同時に把握します。

 

【手順・ステップ】

  1. 借地契約書・覚書・増改築許可書等を収集→条項の有無と原文確認
  2. 登記事項証明書(建物・敷地権)取得→名義・権利関係の整合
  3. 公図・測量図・地籍資料→境界・面積・越境の有無を現況と照合
  4. 都市計画・建築規制→建ぺい率・容積率・接道要件の適合判断
  5. 差異・懸念点のメモ化→後続の承諾・是正タスクへ連携

 

項目 内容
契約書 期間・更新、承諾料、譲渡・転貸、増改築、地代改定、解除条項
登記 建物の名義・種類、敷地権の有無・持分、権利部の負担
図面 公図・測量図で筆界・越境・私道負担・地役権の確認

 

相続人確定と遺産分割の進め方

相続人の確定は、戸籍謄本・除籍謄本等で被相続人の出生から死亡までを連続取得し、法定相続情報一覧図で整理すると実務が早く進みます。

相続財産が「借地上の建物+借地権」にまたがる場合、建物の持分と借地権の帰属を一致させるのが原則で、共有にすると以後の更新・増改築・譲渡等で全員合意が必要になります。

単独取得なら意思決定が迅速ですが、代償金の算定根拠(路線価の年度や借地権割合など)は後段の評価パートに接続します。

 

区分マンションでは敷地権持分が専有部分と不可分で承継されるため、遺産分割協議書にその旨を明記し、持分の不一致を避けます。被相続人が借主であった旨を前提に、地代の未払があれば精算し、更新期や承諾予定の有無も協議内容に含めます。

生計同一の同居家族が継続居住する戸建てでは、生活実態と資金計画(地代・承諾費用・修繕計画)を協議書に落とし込み、後からの追加負担を回避します。

 

【手順・ステップ】

  1. 戸籍収集→法定相続情報一覧図作成→相続人の確定
  2. 財産目録作成→建物と借地権の一体承継方針(単独か共有か)を決定
  3. 遺産分割協議書作成→条項に更新・承諾・精算の扱いを明記
  4. 評価根拠の準備→路線価年度・借地権割合・近傍事情の整理

 

項目 内容
必要書類 戸籍一式、法定相続情報一覧図、固定資産税納税通知書、登記事項証明書
協議の要点 単独取得/共有、代償金、更新期対応、承諾予定、地代・修繕費の負担

 

地主への連絡と承諾事項の整理

相続による承継そのものは、一般に地主の承諾を要しませんが、実務では速やかな通知と名義変更届の提出が有効です。以後の地代支払口座や連絡先を一本化でき、未払の精算や更新期の協議もスムーズになります。

承諾事項は、譲渡・転貸、増改築・建替え、地代改定、更新料、名義書換料等が中心で、要否や金額の扱いは契約条項と過去の運用で異なります。

 

区分マンションでは管理組合への届出も並行し、敷地権の運用や使用細則に従って承諾申請の様式が決まります。事業用の定期借地は満了返還が前提のため、承継後の増改築は原則予定しない設計となります。

相続直後に予定している売却・建替え・賃貸化がある場合、承諾の要否と必要書類、提出先、審査期間の目安を地主と事前共有し、無駄な往復を減らします。

紛争リスクが読める場合は、第三者(司法書士・弁護士)からの照会状や同席での面談も検討します。

 

【重要ポイント】

  • 相続通知と名義変更届→実務上の承継を可視化
  • 承諾の要否・根拠→契約条項と過去運用で判断
  • 先の計画(売却・建替え)→必要書類・審査期間を事前合意

 

名義変更届と必要書類の準備

名義変更届は、相続人(承継者)が借主としての地位を引き継ぐための実務手続です。

一般的には、遺産分割協議書または相続人全員の同意が確認できる書面、法定相続情報一覧図や戸籍一式、承継者の本人確認資料、建物の登記事項証明書、地代の支払方法変更届、固定資産税納税通知書(写)などをまとめて提出します。

 

区分マンションでは、管理組合への名義変更届・承継者情報の届出、管理費・修繕積立金の引落口座変更も同時に進めます。

戸建て・長屋は火災保険の名義・補償内容の見直し、解体予定がある場合は特に賠償責任の補償範囲も再確認します。

 

提出先や書式は地主・管理会社により異なるため、案内様式の有無を事前に照会すると差戻しを防げます。

印鑑証明書や住民票(除票を含む)の取得には日数がかかることがあるため、期限管理表を作成し、提出順序と原本還付の要否も整理しておくと効率的です。

 

【手順・ステップ】

  1. 提出様式・必要書類の事前照会→チェックリスト化
  2. 戸籍・法定相続情報・協議書・登記事項等を収集・原本還付手配
  3. 名義変更届・地代口座変更・連絡先更新を同時提出
  4. 受領確認→不足指摘の是正→完了通知の保管

 

項目 内容
本人・相続書類 法定相続情報一覧図、戸籍・住民票、遺産分割協議書、印鑑証明書
物件書類 建物登記事項証明書、固定資産税納税通知書(写)、管理規約(区分)
届出一式 名義変更届、地代口座変更、管理費・修繕積立金の口座変更(区分)

 

増改築や建替えの申請方法

相続後の増改築・建替えは、契約条項と法令適合の二本立てで検討します。普通借地では、増改築・建替えに地主承諾を要する条項が一般的で、図面・工事内容・工期・仮設計画・近隣配慮計画等を添付した承諾申請が必要です。

賃借権の対抗力は自己名義の建物登記に依拠するため、建替えで建物が滅失する期間は特例が使えず、承諾や新契約の取扱いが争点になりやすいです。

用途地域・建ぺい率・容積率、道路斜線・日影規制、接道要件、構造安全性など、建築確認の前提条件を事前にクリアします。

 

区分マンションの専有部改修は管理規約・使用細則・工事申請要領に従い、防音・給排水・外観統一等の制約を満たす必要があります。

定期借地は満了返還が前提のため、原則として建替え期待は持ちにくく、原状回復や買取特約の有無で出口を設計します。

 

【手順・ステップ】

  1. 契約条項の確認→承諾要否・提出書類・審査期間の把握
  2. 基本計画作成→図面・工期・仮設・近隣配慮・安全計画の整理
  3. 法令チェック→用途地域・建ぺい率・容積率・接道・斜線制限等
  4. 承諾申請→回答条件(地代・承諾料・保証等)の交渉・記録化
  5. 建築確認申請→着工→完了検査→登記・保険更新の手続

 

計画時のリスクと回避策
  • 建物滅失中は対抗要件が弱くなる→承諾・契約条件を先に確定
  • 未登記増改築・越境の放置→是正費用と紛争コストが上振れ

 

なお、費用・承諾条件・審査期間は地域・契約・管理規約により差があります。個別案件では、図面・登記・契約一式の精査と、司法書士・弁護士・建築士等の専門家への早期相談を推奨します。

 

評価と税の基準

借地権の評価は、①自用地価格の把握→②借地権割合の適用→③契約条項・地域事情の補正、の順で進めます。

自用地価格は路線価方式または倍率方式で把握し、戸建て・マンション・土地(更地)いずれでも、面積(㎡)・用途地域・接道・奥行・二方路等の補正を確認します。

 

借地権価格は一般に自用地価格×借地権割合で算出し、底地価格は自用地価格×(1−借地権割合)を起点に流通性を考慮します。

相続税・贈与税の場面では、評価の根拠と時点を明確にし、遺産分割や名義変更、承諾料の合意内容と整合を取ることが肝心です。

記事時点は2025年11月、根拠は国税庁の相続税路線価図・財産評価基本通達等(毎年7月公表の最新年度を使用)とし、実勢売買価格は別途マーケット比較で補完します。なお、税務判断は個別性が高いため、評価方法や通達の適用解釈は専門家への相談を推奨します。

 

路線価と借地権割合の読み方

路線価は、国税庁が毎年公表する相続税評価用の1㎡当たりの価格(千円単位表示)で、原則として道路(路線)に付された数値を地積(㎡)に乗じて自用地価格の基礎とします。

住宅地では「路線価地区」、郊外や筆の条件によっては「倍率地区(固定資産税評価額×倍率)」が指定されます。

 

路線価図には奥行価格補正や側方路線、二方路線、間口狭小等の各種補正率が掲示され、用途地域・容積率・接道条件により補正の有無が異なります。

借地権割合は同じ図面上に記号(例:A〜G)で付記され、一般にA=90%、B=80%、C=70%、D=60%、E=50%、F=40%、G=30%の目安として読みます。戸建て・長屋の相続評価では、当該筆が路線価地区か倍率地区かをまず確認し、該当する補正を選択します。

 

借地権付きマンションでは敷地が複数筆に及ぶ場合が多く、各筆の路線価・借地権割合・持分按分を管理組合の資料で突合します。

記事時点の根拠は「国税庁・相続税路線価図(最新年度、毎年7月公表)」です。地積は登記簿と実測で差が出ることがあるため、確定測量図があれば優先し、差分は評価メモに残します。

 

【重要ポイント】

  • 路線価(㎡単価)×地積×補正率→自用地価格の基礎
  • 借地権割合はA〜Gの記号→地域・路線ごとに確認
  • 倍率地区は固定資産税評価額×倍率→市区町村評価額を取得

 

項目 内容
根拠種別・時点 国税庁 相続税路線価図・借地権割合(毎年7月公表の最新年度)
補正の例 奥行補正・側方路線影響・二方路線・不整形地補正 等
物件別留意 戸建て→接道と奥行補正/区分→複数筆の持分按分

 

借地権価格の算定式と考え方

借地権価格は、原則として「自用地価格×借地権割合」で算定します。自用地価格は、路線価×地積×各種補正(奥行・二方路・不整形 等)または倍率方式で求めます。

底地価格は「自用地価格×(1−借地権割合)」が出発点ですが、実務上は流通性・契約条項(譲渡・転貸・増改築・更新)・未払地代の有無・承諾条件等を反映し、さらに市場性補正(例:底地は0.7〜0.9程度の補正が提示されることがある)を検討します。

区分マンションの敷地権は持分按分で評価を行い、敷地全体の自用地価格に持分を乗じてから借地権割合を適用します。事業用定期借地は満了返還が前提のため、残存年数・再契約の見込みが価格感に影響します。

 

【計算例(前提を明示)】
前提:路線価30万円/㎡(最新年度)、地積100㎡、補正率1.00、借地権割合60%(D)
自用地価格=30万円/㎡×100㎡=3,000万円
借地権価格=3,000万円×0.60=1,800万円
底地価格(起点)=3,000万円×0.40=1,200万円

 

※実務では契約制限・流通性等で底地に0.8×などの補正が提案されることがあり、相場比較で検証します。

 

算定のコツ
  • 評価は「根拠と時点」を併記→路線価年度・補正項目を明示
  • 価格は起点と交渉値を分けて管理→市場事例で裏付け

 

名義書換料・承諾料の相場観

名義書換料・承諾料は法律で一律に定められておらず、契約条項・地域慣行・地主方針で大きく振れます。

名義書換料は「相続そのものでは不要」と解されるのが一般的ですが、契約で規定がある場合や、相続直後に譲渡・転貸・建替えを伴う場合は金銭授受が求められることがあります。

 

実務上の提示例として、名義書換料は「借地権価格の一定割合(例:1〜5%)または地代の数か月〜数年分」、増改築承諾料は「工事規模・用途変更の有無に応じ、路線価ベースの更地価格×一定率(例:0.5〜3%)」、建替承諾料は「借地権価格の数%〜10%前後」などの幅広いレンジが見られます。

いずれも公的な相場ではなく、条項の明確化・見積根拠の提示・第三者評価(不動産鑑定評価書等)で妥当性を補強するのが安全です。区分マンションでは管理規約や敷地権の運用により、管理組合への手数料が別途必要になることがあります。

 

費用名 発生根拠 提示レンジの例(断定不可)
名義書換料 契約規定・承諾運用 借地権価格の1〜5%/地代の数か月〜数年分
増改築承諾料 増改築条項・用途変更 更地価格(路線価基礎)×0.5〜3%程度
建替承諾料 建替条項・期間更新 借地権価格の数%〜10%前後

 

※いずれも「目安」であり、公的基準はありません。契約と過去運用が優先し、地域差が大きいため個別交渉となります。

 

地代未払分と清算金の扱い方

相続時点で地代の未払がある場合は、承継者が速やかに精算し、遅延損害金や利息の扱いを契約条項に沿って整理します。

契約に特約がないときは、民法の法定利率(変動制・記事時点)を参照しつつ、未払期間・金額・催告履歴を踏まえた合意形成を図ります。

未払が長期化し、信頼関係を破壊する程度と評価されると、解除請求のリスクが高まるため、相続開始直後に支払計画を提示し、承諾や更新の協議と同時に精算を終えるのが安全です。

 

売買や持分調整を伴う場合は、相続人間の清算金(代償金)に未払精算・修繕積立・固定資産税清算(区分では管理費等)を織り込みます。

区分マンションでは、管理費・修繕積立金・駐車場料金の滞納も同様に承継実務へ影響するため、管理会社の残高証明で整合を取ります。

 

【手順・ステップ】

  1. 未払額・期間・利率の確定→契約条項・法定利率の確認
  2. 支払計画の提示→名義変更・更新協議と同時に精算
  3. 相続人間の清算金に反映→協議書へ明記

 

項目 計算・書類
地代未払 月額地代×未払月数+遅延利息(契約または法定利率)
関連書類 地代領収書、通帳、督促通知、管理会社残高証明(区分)
清算金 未払・修繕積立・固定資産税・保険料等の精算内訳を明記

 

贈与認定・みなし譲渡の注意

借地権の設定・移転・消滅に伴う金銭授受が、時価とかけ離れている場合、税務上は「実質」で判定され、贈与税や譲渡所得課税(みなし譲渡)が問題となることがあります。

例えば、相続直後に借地権を親族へ著しく低額で譲渡した、建替承諾料を無償で受けた/支払った、底地と借地の相互交換で差額精算が不十分、といったケースでは、時価との差額部分が贈与や所得と評価されるリスクがあります。

 

判定では、路線価ベースの自用地価格、借地権割合、地域の実勢、契約制限や流通性、第三者評価(不動産鑑定評価)などの根拠を総合します。

区分マンションでも、敷地権の持分移転や親族間売買では同様の留意が必要です。記事時点の根拠は、財産評価基本通達・相続税法・所得税法等の一次情報を前提とし、低額譲渡や対価性の乏しい授受はリスクが高いと考えます。

 

税務否認を避ける実務ポイント
  • 時価算定の根拠保存→路線価年度・補正・鑑定評価の写し
  • 金銭授受は契約書へ明記→支払実績を通帳で裏付け
  • 親族間は第三者比較事例で補強→著しい乖離は回避

 

なお、本項は通達・判例・個別事情の影響が大きく、最終判断は税理士・不動産鑑定士・弁護士等の専門家への相談を推奨します。

 

税金と登記の制度

借地権の相続では、税金と登記の実務を同時並行で整理すると滞りなく進みます。

税務面は①相続税(申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10か月)②不動産取得税(相続は原則非課税、遺贈は要件により課税・非課税が分岐)③譲渡所得(売却時)④固定資産税(毎年1月1日の所有者に課税)の4本柱を押さえます。

 

登記面は、相続登記の申請義務化(原則3年以内・正当な理由なき不履行は10万円以下の過料)への対応が中心で、期限内に完了が難しい場合は「相続人申告登記」で義務履行をみなすことが可能です。

さらに2026年4月以降は住所・氏名変更登記も2年以内が義務となるため、名義・住所の整合を早めに整えるとよいでしょう。制度・期限はいずれも一次情報の確認を前提に運用してください。

 

相続税の申告期限と必要書類

相続税の申告・納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内が原則です。

戸建て・長屋・借地権付きマンションのいずれでも、相続税申告書(各別表)に、戸籍一式または法定相続情報一覧図、遺言書の写し又は遺産分割協議書の写し、各資産の評価根拠書(固定資産税評価証明書、路線価・補正の計算明細、借地契約書の写し等)を添付します。

 

e-Taxでは添付書類の一部が画像提出(PDF)可能となっており、原本提出が必要なものは限定的です。

借地権がある場合は、契約条項(期間・更新・承諾料・譲渡制限)や地代の状況を明記し、評価方法と前提の時点(路線価年度)を申告書別表・明細に併記します。

期限管理は相続登記・名義変更と連動させ、評価資料の取り寄せ期間を逆算して準備しましょう。

 

【重要ポイント】

  • 期限→相続開始を知った翌日から10か月
  • 添付→戸籍/法定相続情報、遺産分割書、評価明細、借地契約関連
  • 評価の時点→最新路線価年度・補正の根拠を明示

 

不動産取得税の課税の有無判断

不動産取得税は都道府県税で、相続による取得は原則非課税です。遺贈は①包括遺贈→非課税②特定遺贈→相続人に対するものは非課税、相続人以外へのものは課税、が基本整理です。代償分割や生前贈与、死因贈与は「相続」に含まれず課税対象となり得ます。

非課税でも多くの道府県で「非課税申告書」の提出が必要なため、所在地の都税/県税事務所で様式と添付書類(戸籍、遺産分割関係、登記事項証明書など)を確認します。

借地権の承継自体は相続で非課税ですが、相続後の再分割・持分移転や第三者への譲渡は課税関係が変わるため、原因・相手方・対価の有無で判断してください。

 

取得原因 取扱いの目安
相続 非課税(地方税法73条の7第1号)
包括遺贈 非課税
特定遺贈 相続人→非課税/相続人以外→課税
代償分割・生前贈与・死因贈与 課税対象(要件・書類は道府県確認)

 

相続登記義務化と期限対応

相続登記は、相続開始を知り不動産取得を知った日から原則3年以内の申請が法律上の義務となりました。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料対象です。

期限内に分割がまとまらない、戸籍収集が難航する等の場合には、簡易手続の「相続人申告登記」を先行し、申出をした相続人については義務履行とみなされます(相続人全員で個別申出が必要)。

 

併せて、2026年4月1日施行の住所・氏名変更登記の義務化にも留意し、変更日から2年以内の申請を失念しないこと(過料上限5万円、スマート変更登記の活用可)。

相続税の10か月期限・不動産取得税の非課税申告と、登記の3年期限をタイムラインで管理すると安全です。

 

期限対応のコツ
  • 10か月(税)→3年(登記)→2年(住所変更)の順で逆算
  • 相続人申告登記で“みなし履行”→全員分の申出を忘れない

 

固定資産税の負担区分と連絡先

固定資産税は市町村税で、毎年1月1日(賦課期日)現在の所有者に課税されます。借地では土地の固定資産税は地主(底地所有者)に、建物の固定資産税は建物所有者(借地権者)に課税されるのが原則です。

相続年の途中で名義が変わっても、その年度分は原則として1月1日の名義人に課税されるため、当事者間での清算条項を遺産分割や精算合意に明記します。

 

納税通知書の送付先変更は市町村税務課で手続きでき、名義変更の反映は登記完了後の名寄せで翌年度以降に適用されるのが一般的です。

地代への転嫁が行われている地域では、固定資産税の増減が地代改定交渉に影響する点も押さえておきましょう。

 

対象 納税義務者の目安
土地(借地) 底地所有者(地主)※契約での負担調整は別途
建物 建物所有者(借地権者)
賦課期日 毎年1月1日の所有者に当年度課税

 

譲渡所得の特例と計算の着眼点

借地権(と建物)を売却した場合の譲渡所得は、譲渡価額−(取得費+譲渡費用)を基本に、要件に合致すれば特例を検討します。

代表例は①相続税額の取得費加算(相続税課税があり、相続開始から「申告期限の翌日以後3年を経過する日」までの譲渡が対象=通称3年10か月)②被相続人の居住用家屋の3,000万円特別控除(いわゆる空き家特例、要件多数・1億円合計判定等)です。

 

居住用財産の3,000万円控除(自己居住)や空き家特例と取得費加算は原則併用不可の場面があるため、どれを適用するか事前に試算します。

借地で建替え・等価交換・底地との同時処理を行う場合は「みなし譲渡」や贈与認定のリスクも踏まえ、契約・評価・支払の実績を整理しましょう。

 

【計算イメージ(例)】

前提 数値 ポイント
譲渡価額 3,000万円 売買契約書の対価(借地権+建物)
取得費 1,200万円 建物減価・承諾費用の一部含む例
取得費加算 200万円 相続税額の一部を加算(要件充足)
譲渡費用 100万円 仲介手数料・測量等
課税長短 長期譲渡 所有期間判定に留意
概算益 3,000−(1,200+200+100)=1,500万円 特例の可否で税額が変動

 

実務の注意点
  • 特例は要件確認→期限・合計判定・併用可否を精査
  • 相続税評価・路線価・鑑定等の根拠を保存

 

トラブルと交渉の注意点

借地権のトラブルは、契約の読み違いと手順の前後が原因で長期化しやすいです。

実務では、①承諾が本当に必要かの切り分け、②無断行為の是正と合意形成、③更新や期限管理のロードマップ化、④境界・越境の早期解消、⑤売却・買取・等価交換など出口策の選定、の順で進めると安全です。

戸建て・長屋では建替え計画の有無、借地権付きマンションでは管理規約の制約、事業用では定期借地の満了設計が交渉の軸になります。

 

金銭面は、名義書換料・承諾料・更新料・立退料等の名称に引きずられず、根拠(契約条項・地域慣行・評価)と対価性を明示し、将来の地代・修繕・税務まで見通した合意書に落とし込むと紛争を抑制できます。

個別事情の影響が大きいため、評価や契約書の条項は専門家の確認を受けながら交渉の前提を揃えることを推奨します。

 

承諾不要の主張と法的根拠の整理

承諾が不要な場面と、承諾が必要な場面を最初に峻別します。相続による承継(単独・共有)は、一般に地主承諾を要しません。遺産分割での取得者変更も「相続の範囲内」であれば承諾不要と扱われるのが実務上の目安です。

一方、相続後の第三者への譲渡や転貸、地上権設定、持分売買は承諾が必要となるのが通常です。

 

承諾が得られない場合は、譲渡・転貸・増改築等について裁判所の許可申立で代替できる制度があり、対価・信用性・契約遵守状況などの事情が判断要素になります。

区分マンションでは敷地権の運用に管理規約が重なり、承継・使用・改修で管理組合手続が別途必要です。

主張整理は「原因(相続か処分か)→契約条項→過去運用→対価の有無→代替手段」の順で行い、書面で提示すると交渉が前に進みます。

 

【重要ポイント】

  • 相続・遺産分割→原則承諾不要の整理
  • 譲渡・転貸・地上権設定→承諾要の整理
  • 承諾不可→許可申立という代替手段の検討

 

区分 典型事例 実務の取扱い目安
承諾不要 相続承継、遺産分割での帰属調整 通知・名義変更届で実務対応
承諾必要 第三者譲渡・転貸、持分売買 契約条項と対価性を基礎に協議
代替手段 承諾得られず・拒絶が不当 許可申立で可否・条件を判断

 

無断建替え・増築への具体対応

無断建替え・増築は、契約違反として解除・原状回復・損害金の争点になり得ます。ただし、信頼関係破壊の有無や違反の程度・是正可能性・地代の支払状況などの事情が総合評価され、直ちに解除が認められないケースもあります。

初動は事実関係の確定(工事内容・工程・承諾条項・近隣影響)→工事中止や是正の仮合意→正式な承諾申請(図面・工期・安全計画・近隣配慮計画)→条件交渉(承諾料・保証・保険)の順で進めます。

 

建替えで一時的に建物が滅失する期間は、賃借権の対抗力を補完する特例が使えないため、事前に覚書で権利関係・地代扱い・スケジュールを固定します。

区分マンションは管理規約・使用細則が優先し、防音・給排水・外観・工事時間帯などの遵守が必須です。

 

【手順・ステップ】

  1. 契約条項・図面・工事計画の収集→違反ポイントの特定
  2. 一時停止・是正の仮合意→被害拡大の回避
  3. 承諾申請の正式化→添付書類・安全計画・近隣対策を明示
  4. 条件交渉→承諾料・保証・保険・是正期限を合意書に反映
  5. 完了後の確認→登記・保険・管理台帳の更新

 

リスクの芽を摘むコツ
  • 未登記増改築・越境の放置→後日の解除・是正費用が増大
  • 建物滅失期間→対抗力が弱まるため覚書で補強

 

更新料・期限の合意形成の進め方

普通借地の更新は、期間・更新の有無・更新料条項・過去運用が交渉の材料です。更新料が金額・算定式まで明記されているか、地域慣行として支払われてきたか、地代改定や修繕負担とのパッケージで合意してきたかを確認します。

更新拒絶・条件変更には相応の理由や対価(立退き交渉)が絡むため、借主側は使用実態・増改築の適法性・地代支払の誠実性を整理しておくと有利です。

 

定期借地は満了終了が原則で、更新や建替え更新の期待は持ちにくく、満了数年前からの出口設計(返還・事業撤退・買取交渉)を前倒しで開始します。

戸建ては居住継続と資金計画、事業用は残存年数と投資回収の整合、マンションは管理規約上の運用が鍵です。

 

類型 交渉の軸 実務ポイント
普通借地 更新料条項の有無・過去運用・地代改定 パッケージ合意(更新料↔地代・修繕)で着地を探る
定期借地 満了返還・原状回復・買取特約の有無 早期の出口設計(返還・買取・撤退計画)

 

【重要ポイント】

  • 更新条件は書面と過去運用を並べて整理→一貫性を確認
  • 定期借地は満了終了が基本→例外は契約に明記された場合のみ

 

近隣境界・越境の解消ステップ

境界未確定や越境は、承諾や建替え・売却の障害になります。まず、公図・地積測量図・確定測量図・登記・道路台帳を収集し、現況を踏査します。

筆界の疑義があれば、隣接地権者の立会いによる境界確認→合意書(位置図添付)作成→必要に応じ地積更正登記の流れを検討します。

 

越境は、枝・屋根・外壁・基礎・配管など部位別に分け、是正可否と費用負担、暫定利用(使用貸借)や地役権設定の可否を検討します。

売買予定がある場合は、是正完了か、合意書と供託金・預託方式での引継ぎを決め、引渡条件に明記します。区分マンションでは、専有部・共用部・敷地の責任分界を管理規約で確認し、管理組合の承認経路を先に押さえます。

 

【手順・ステップ】

  1. 資料収集→現地踏査→疑義の洗い出し
  2. 隣接者と仮合意→測量→境界確認書の作成
  3. 越境の是正計画→撤去・補修・使用貸借・地役権の選択
  4. 売買・建替えに連動した期限・費用・保証の明記

 

越境類型 典型対応 留意点
枝・庇・雨樋 剪定・撤去・補修、使用貸借の暫定合意 雨水排水・落葉対策・損害賠償の線引き
外壁・基礎 部分撤去・補修、将来撤去条項付き地役権 耐力・防水・施工責任の明確化
配管・桝 迂回更新・共同利用合意・地役権設定 維持管理・緊急時立入・費用負担の規定

 

売却・買取・等価交換の選択肢

出口戦略は、借地権売却、底地買取、底地売却(第三者・借地人へ)、底地と借地の同時売買、等価交換など複数の選択肢があります。

資金負担・税務・スケジュール・将来の安定性で比較すると、借地権売却はスピード重視、底地買取は所有権化で自由度向上、同時売買は利害調整で価格が安定しやすい、等価交換は課税や資金の圧縮余地がある一方で条件整備が難しい、という傾向があります。

 

戸建ては居住継続か売却か、マンションは敷地権持分の按分・管理規約上の制約、事業用は残存年数・原状回復・テナント対応が判断材料です。

価格は、路線価ベースの起点と実勢の相場比較を併用し、承諾条件・未払・越境・是正費用を反映したネット価格で最終合意します。

 

選択肢 メリット 留意点
借地権売却 現金化が速い・工事不要 承諾要件・承諾料・買主融資の可否
底地買取 自由度向上・金融調達がしやすい 買取資金・税務(取得費・不動産取得税等)
底地売却 管理負担の軽減・資産入替 借地人との関係維持・価格の妥当性
同時売買 価格の安定・承諾条件の一本化 調整工数・スケジュールの複雑化
等価交換 資金圧縮・税負担調整の余地 評価・権利調整・税務の高度な設計

 

出口設計の判断軸
  • 資金→一時金か分割か、融資調達の可否
  • 税務→譲渡所得・みなし譲渡・贈与認定のリスク
  • 時間→承諾・許認可・測量是正の所要期間

 

いずれの選択でも、評価の根拠と合意の前提(承諾要否・費用・是正タスク)を明記した書面化が、後日の紛争予防と価格の納得感につながります。

 

まとめ

借地権の相続は、①契約確認・相続人確定、②地主連絡、③名義変更・登記、④評価と税申告、⑤トラブル予防の順が基本です。

路線価と借地権割合で価額を把握し、承諾の要否と費用を先に確認。チェックリストで期限管理し、無用な紛争と追加負担を避けましょう。