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再建築不可の売却は可能?相場・費用・期間と査定から契約までを解説

再建築不可でも売却は可能です。本記事では、相場の考え方・費用や期間の目安・査定から契約までの運び方を、現金買取/仲介/入札の比較とあわせて整理。

必要書類と開示の勘所、是正費の積算、税金や契約条項の注意点までを初心者向けにまとめ、最終的な手残りを底上げするための実務手順を提示します。

 

再建築不可売却の基礎と相場の目安

再建築不可の価格形成では、一般の宅地よりも「法規上の不確実性」「権利調整の難度」「物理的条件」の三要素が強く効きます。

新築前提で買う実需が絞られるため、買い手構成は投資家・買取業者寄りになりやすい点も特徴です。

 

相場は「近隣の再建築“可”の水準」を起点に、接道やセットバック、私道の持分・承諾、擁壁・高低差、インフラ引込の可否、是正に要する費用と期間を控除し、さらに流通性(売り切りに要する時間)を加味して調整します。

まずは近隣成約と路線価でレンジを押さえ、是正費・原状回復・仲介料・税等を積み上げて最終手取りを試算すると、判断のブレが小さくなります。

【相場を掴む起点】

  • 再建築「可」の近隣成約単価→基準値として把握
  • 路線価・地価トレンド→位置補正と時点補正の参考
  • 是正費・権利整備の難度→具体的金額に落とし込む

 

評価軸 確認ポイント 価格への作用
法規 接道2m、道路種別、後退の要否 不確実性が大きいほどマイナスに作用
権利 私道持分、通行・掘削承諾、越境 書面整備の有無が価格・期間を左右
物理 有効宅地、擁壁・高低差、インフラ 工事量と工程に直結→ディスカウント要因

 

まず決める3ステップ
  • 基準レンジの設定→「可」事例+路線価で帯をつくる
  • 是正費と所要期間の見立て→表で可視化
  • 売却手段(買取/仲介/入札)を仮決定→工程設計

 

再建築不可の意味と接道2m要件

再建築不可とは、建築基準法上の道路(法42条)に敷地が所定条件で接しておらず、新築ができない(または極めて困難)状態を指す実務用語です。

原則は、法の道路に「2m以上」連続して接すること、かつ前面道路の幅員が4m以上(狭あい道路はセットバックにより将来4m確保)です。

 

旗竿地で竿幅が不足、前面が私道だが位置指定・持分・通行掘削承諾が未整備、古い道で2項道路の中心線・後退量が不明、などは「不可」判定になりやすい要因。

43条許可により例外的に建築が認められる枠もありますが、通路幅・消防動線・衛生確保・権利の恒久性まで満たす必要があり、売却現場では「現状は新築困難」という前提で価格が組まれます。

買い手は将来の建替え可否と是正の実現性・コストを注視するため、売主は「道路種別」「接道実測」「後退要否」を先出しすると評価が安定します。

【接道のポイント整理】

  • 2m接道が原則→曲線・隅切りで有効幅が不足しがち
  • 4m未満は2項道路の可能性→中心線・後退量の確定が前提
  • 私道は持分・通行・掘削承諾が鍵→ライフライン・工事に直結

 

状態 売却時の見方
接道不足 建替え困難→是正費・期間を価格に織込む
後退未了 有効宅地減+外構移設費を控除
権利未整備 承諾取得の可否・手間がディスカウントに影響

 

誤解しやすい点
  • 舗装=法の道路とは限らない→資料+実測で裏取る
  • 置き方の工夫だけでは建築可にならない

 

価格下落の主因とディスカウント幅

値付けは「不可だから一律安い」ではなく、個別減価を金額化して控除する考え方が基本です。

主因は、①接道不足と後退による有効宅地減、②権利・承諾の未整備、③インフラ引込や通路整備の是正費、④融資制限による買い手層の縮小、⑤工期リスクと流通性低下、の五つに集約されます。

 

ディスカウントの大小は「将来の建替え可否」と「是正の実現性・コスト・所要期間」で大きく変動。

たとえば後退量が明瞭で外構移設のみなら軽微、一方で通行・掘削承諾が見込めず上下水新設が難しい場合は影響が大きくなります。

実務では、近隣の「再建築可」相場を基準に、是正費・権利整備・有効宅地減による機会損失を積算し、「売り切るまでの時間価値」まで含めて調整します。

 

【シミュレーション例(考え方)】

項目 内容 金額の扱い例
基準相場 近隣の再建築可の成約水準 基準価格として採用
是正費 後退・外構移設・通路舗装 等 見積合計を控除
権利整備 通行・掘削承諾取得に伴う費用 書面化コスト・協力金等を控除
有効宅地減 後退面積×近隣単価 機会損失として控除
時間価値 想定販売期間・歩留まり 利回り相当分で調整
  • 見積は上下レンジで取得→レンジ提示で透明性を確保
  • 権利の不確実性は価格だけでなく条件(現況有姿・免責)で調整

 

下振れを抑えるコツ
  • 是正案+概算見積を先に用意→不確実性を金額化
  • 期間・条件を明示→買い手の不安を先に解消

 

近隣成約と路線価の基本調査

相場の軸づくりは、「実際に売れた価格」と「位置による客観水準」を押さえることから。実務では、地図上で半径・行政区・最寄駅をそろえ、成約事例(できれば前面道路条件や面積が近いもの)を複数集め、時点補正をかけてレンジ化。

同時に、路線価・公示地価・基準地価といった公的指標で位置補正を行い、「再建築可の基準値」を仮置きします。

 

再建築不可の個別要因は、この基準から控除していくイメージ。調査では、道路種別・接道長さ・後退要否・私道の権利を資料と現地で突合し、乖離があれば必ずメモ化。

最後に、売却手段ごとの期間・コスト(仲介料・測量・是正・残置物)を足し込み、手取りベースで比較すれば、無理のない価格帯が見えてきます。

【使う資料と役割】

資料 役割 実務のポイント
近隣成約 時点の市場レンジ把握 面積・駅距離・道路条件を揃えて抽出
路線価 地点差の把握 角地・側方路線補正、間口・奥行の確認
地価動向 上昇/下落の傾向 時点補正の参考に
  1. 基準相場を仮置き→再建築「可」の事例を複数抽出
  2. 位置補正→路線価・公示/基準地価で整合性を確認
  3. 個別控除→是正費・権利整備・有効宅地減を差し引く

 

調査で陥りやすい落とし穴
  • 広告価格=相場と誤認→成約価格ベースで確認
  • 資料と現地の不一致→実測・役所照会で補正

 

査定と価格の決まり方の基本

再建築不可の査定は、「基準レンジ→個別減価→流通性調整→売却手段選択」の順で組み立てると判断がぶれません。

まず再建築“可”の近隣成約や路線価で起点を置き、接道・後退・権利未整備・インフラ・擁壁などの個別要因を金額や期間に換算して控除。

 

次に、買い手構成(投資家比率が高い)や融資の通りにくさを踏まえ、売り切るまでの時間価値・キャンセルリスクを価格に反映します。評価は二層で見ると実務的です。

土地・権利・通路整備の観点から「再建築可へ近づける可能性」を点検する視点と、建替えに頼らず「現況活用」(賃貸・駐車場・倉庫等)の収益性を測る視点。

どちらの筋が現実的かを費用対効果と期間で比較し、出口時期まで描ける案が結果的に高値・短期成約につながります。

 

評価視点 概要 実務チェック
基準相場 再建築可の近隣成約・路線価で起点設定 面積・駅距離・前面道路条件を揃えて抽出
個別減価 接道・後退・私道権利・擁壁・インフラ 数量化→見積・期間に置換して控除
流通性 買い手層・融資制約・成約までの時間 手段別の期間と歩留まりを反映

 

高値成約の基本フレーム
  • 基準相場を先に固定→次に減価を金額化
  • 費用と工程を見える化→不安を減らして上振れを狙う
  • 売却手段(買取/仲介/入札)は資料の整い具合で選定

 

減価要因の洗い出しと優先順位

減価要因は「法規」「権利」「物理」「金融・市場」「時間」の五分類で整理すると俯瞰しやすいです。

法規は接道2m不足、前面道路が法42条に非該当、2項道路の中心線・後退量が未確定、といった項目が最優先。

 

権利は私道持分の欠如、通行・掘削承諾未取得、越境の有無。物理は後退後の有効宅地減、擁壁・高低差、老朽・無確認増築、上下水の引込可否。金融・市場は融資制限による買い手層の縮小や需給・金利。

時間は承諾交渉・役所協議・工事所要の長さ。優先順位は「影響度×可逆性×実行難度」で決め、影響が大・可逆性が低・実行が難のものほど、まず価格へ強く反映し、交渉・是正の主戦場に置きます。

 

カテゴリー 代表要因 優先付けの考え方
法規 接道不足・2項道路の確定不能 建替え可否に直結→最優先で減価
権利 私道持分・通行/掘削承諾・越境 取得難度と費用で調整→承諾書の有無が鍵
物理 有効宅地減・擁壁・高低差・インフラ 数量化して見積化→範囲確定を優先
金融・市場 融資制限・金利・需給 手段選択で緩和→期間調整に反映
時間 協議・承諾・工事の所要 タイムバッファを価格に織り込む

 

洗い出しでの落とし穴
  • 広告図や簡易図だけで判断→役所照会・実測を省かない
  • 承諾は口頭で済ませる→範囲・承継条項まで書面化

 

セットバック等の是正費の見積もり

是正費は「数量×単価×復旧仕様」で決まります。まず現地で後退幅・延長・外構(塀・門柱・植栽・桝・側溝・舗装等)の数量を拾い、配置図へ赤入れして関係者で認識を揃えます。

次に、舗装や側溝の復旧仕様、排水勾配、隅切りの有無などを決め、数量表に落とし込みます。

 

私道では通行・掘削・舗装復旧の承諾が別途必要で、復旧基準(アスファルト厚等)を承諾書に明示すると紛争予防に。

位置指定や通路新設に進む場合は、排水構造・転回広場・標準構造図に沿う設計が前提となり、工期も長めになります。

見積は最低でも複数社で、現地立会いにより数量認識を一致させると精度向上。不確実な部分(埋設物・地中障害)は予備費を別枠で用意し、夜間工事の割増や交通誘導などの条件も見積内で確認します。

 

項目 数量化のポイント 見積での確認
セットバック 後退幅×延長、撤去物の数量 復旧仕様(舗装・側溝)、隅切り、境界標の設置
外構移設 塀・門柱・フェンス・植栽・設備の点数 再利用の可否、移設先の基礎、近隣合意
通路舗装 面積と厚み、排水勾配・桝位置 仮設動線、誘導、夜間・休日割増
位置指定 幅員・延長・転回広場の寸法 標準構造の適合、検査・告示までの工程

 

見積依頼のコツ
  • 赤入れ図+数量表を同封し、現地立会いで差異を解消
  • 承諾・占用・復旧基準を事前合意→追加の発生を抑える

 

売却後の手残り試算と損益分岐点

手残りは「想定売価−(是正費+測量・登記+仲介手数料+税・諸費+撤去費)」で算出します。重要なのは、手段ごとに価格・期間・負担条件が変わること。

現金買取は価格控えめでも期間短縮と条件簡素化で手残りを読みやすく、仲介は上振れ余地がある一方、是正費・期間・キャンセルリスクを織り込みます。

 

入札は短期で市場の上限と条件差を把握できる利点。損益分岐は「総費用=売却代金−手残り目標」と置き、是正の先行有無で分岐比較すると明快です。

たとえば、後退や承諾を事前整備して“整備済み”で出す案と、現況有姿で“是正案+概算”を添える案を、所要期間と値幅、手残りで並べて判断。税(譲渡所得・住民税・印紙・登録免許税等)は早めに概算反映し、交渉のブレを抑えます。

 

項目 内容 実務ポイント
売却価格 手段別にレンジ化(買取/仲介/入札) 期間と条件の違いを同一表で比較
直接費 是正・撤去・測量・残置物 2社以上で見積→上限/下限レンジで管理
手数料等 仲介手数料・登記・広告 等 上限と特約の確認→成功報酬の条件を明確に
税金 譲渡所得・住民税・印紙・登録免許税 概算でも早期反映→後戻りリスクを低減
  • 手段別に「価格・期間・条件」を一覧化
  • 費用レンジ(最小/最大)で手残りを二通り試算
  • “整備済み/現況+是正案”の二案で損益分岐点を比較

 

手残り試算の落とし穴
  • 税・撤去費の見落とし→最終局面で目減り
  • 時間価値を無視→実質利回りが低下

 

売却手段の比較と選び方

再建築不可の出口は「現金買取」「仲介流通」「入札(買取保証含む)」の三本柱で考えると早いです。仲介は上振れを狙いやすく、現金買取はスピードと確実性、入札は短期で上限価格と条件差を把握できるのが強み。

価格だけでなく「期間・手間・是正の要否・契約条件(現況有姿・免責)」を同じシートで比較し、最終手取りと時間価値で判断します。

承諾取得やセットバックの有無、残置物・測量の範囲、税・登記の扱いも手段ごとに異なります。まず「いつまでに資金化」「是正をどこまで先行するか」を決め、その前提で三案を比べるとブレが減ります。

 

手段 特徴 向くケース
現金買取 最短成約・条件がシンプル。価格は控えめ 短期資金化が必須/是正・承諾の先行が難しい
仲介流通 上振れ余地。内見対応と開示資料が鍵 時間に余裕/是正案・資料が整っている
入札/買取保証 期日指定で比較しやすい。出口担保が可能 短期で相場把握/販売余地と下限確保を両立
  • 比較は「価格→手残り→期間→条件(免責・現況有姿)」の順で整理
  • 測量範囲・残置物・是正の有無など前提を統一して見積を揃える

 

選び方のコツ
  • 締切(資金化の期限)を先に決める→手段が絞れる
  • 是正の可否・費用を見える化→不確実性を交渉材料に

 

現金買取のメリットと留意点

現金買取の魅力は「早く・確実に」まとまること。再建築不可はローンが通りにくく実需が減るため、業者買取の土俵に乗せると短期成約が狙えます。

多くの場合、契約不適合責任は軽め(または免責)、残置物は現況渡し、日程調整も柔軟で、承諾や後退を先行できない事情があっても出口を確保しやすい。

 

一方で価格は仲介より控えめになりがちなので、相見積を取らないと割引過大の懸念があります。手付や引渡猶予、測量範囲、残置物量、占用の扱いなど条件面で手残りが左右されるため、内訳と契約条件を対で比較すること。

早期資金化が目的でも、最低限の資料(道路種別・接道長さ・後退要否・私道権利・越境・現況写真)を整えて提示すれば、再査定や減額交渉を抑制できます。

 

観点 メリット 留意点
スピード 短期間で現金化できる 条件確認を省くと手残りが目減り
条件 現況有姿・免責で進めやすい 整備価値が価格に反映されにくい
価格 確度高い提示・キャンセル少ない 仲介より低め→相見積で補正

 

活用のポイント
  • 最低2〜3社で同条件査定→価格と条件を横並び比較
  • 接道・権利・越境の資料を先出し→減額要因を先に解消

 

仲介流通で高値を狙う戦略

仲介は高値を狙えるぶん、準備と時間が要ります。肝は「不確実性の低減」と「安心材料の提供」。

道路種別・接道実測・後退要否、私道の通行/掘削承諾、越境や残置、上下水・ガスの引込状況を資料化し、可能なら是正案と概算見積をセットで提示。

再建築不可でも、賃貸・倉庫・駐車場など現況活用の余地や、後退後の配置イメージを示すと検討速度が上がります。

 

広告は価格の根拠と是正案を併記し、現況のマイナスは正直に開示。内見は動線の安全、敷地・通路の計測立会い、車両進入テスト、周辺説明をセットにし、質疑には資料バインダーで即応。

減額回避には、役所回答や第三者測量の写しを添付し、重要事項前に主要リスクを共有します。

 

施策 狙い 実務上の注意
資料の先出し 不確実性を価格へ反映→高値でも納得 接道・権利・越境は図+写真で提示
是正案の提示 将来像を示し上振れを引き出す 概算と工程表を併記→実現性を担保
内見運用 測量・通行テストで疑義解消 安全配慮・近隣対応・立会記録を残す

 

高値に近づく3アクション
  • 「現況+是正案+概算」の三点セットを広告段階で提示
  • 役所回答・測量写しを添付→減額の余地を縮小

 

入札方式と買取保証の使い分け

入札は募集要項を統一し、複数の買い手から同時に条件提示を受ける手法。短期で上限価格と条件差を把握でき、価格・手付・引渡時期・残置物・免責の扱いなどを横並び比較できます。

買取保証は、一定期間は仲介で販売し、期限までに成約しなければ事前合意の価格で業者が買い取る仕組みで、販売余地と出口の安心を両立。

 

使い分けは「時間制約」と「資料の整い具合」で判断。時間が限られ資料が揃っているなら入札で上限探索、資料が不足しつつ出口を確保したいなら保証が有効です。

入札の要項には、瑕疵担保の扱い、境界・承諾・是正の責任分担、違反判明時の調整条項を明記。保証は保証価格・期間・適用条件(広告経路・改定基準)を契約で明確にし、想定ズレを防ぎます。

 

手法 強み 実務の勘所
入札 短期で上限価格と条件を把握 要項を統一→条件比較を容易に
買取保証 販売余地+出口担保が同時に可能 保証価格・期間・適用条件を明文化

 

使い分けの基準
  • 時間に余裕がない→入札/保証でスピード優先
  • 資料が整っている→入札で上限探索、未整備→保証で下限確保

 

準備書類と開示で早く高く売る手順

再建築不可の販売は、価格前に「不確実性の解像度」を上げることが、スピードと上振れの両立につながります。

買い手は接道・権利・是正費・工程の見通しが立てば判断が速い。内見前までに法規・権利・測量・現況写真・是正案・概算見積を一つの資料パッケージにまとめ、広告と同時に開示する方針が有効です。

先出しは減額余地を小さくし、キャンセル率も下げます。さらに、後退後の配置イメージや通行・掘削承諾の取得方針まで示せれば、投資家・実需ともに検討が進み、反響から申込みまでの時間短縮が期待できます。

【先出しの基本方針】

  • 「現況+是正案+概算+工程表」をワンセットで提示
  • 接道・権利・越境は図と写真で可視化→文章だけにしない
  • 広告時点で閲覧可に整備→内見前の疑義を最小化

 

目的 必要情報 期待効果
不確実性の解消 接道2m・道路種別・後退量・承諾可否 減額交渉を抑制、検討スピード向上
費用の見える化 是正費・撤去費・残置処分の概算 手残り基準で比較可能
工程の見える化 取得→設計→工事→引渡の所要 指値の根拠を縮小し価格維持

 

準備〜開示のコツ
  • すべてに日付・出典を明記→信頼性を担保
  • 図面へ赤入れ(接道・後退線・越境)を重ね、視覚的に示す

 

法規・権利・測量の資料パッケージ

価格の土台は法規・権利・測量です。まず「前面道路が法42条のどれか」「敷地が連続2m以上接しているか」「4m未満なら後退量はいくつか」を資料で提示。

私道は持分の有無、通行・掘削・再掘削の承諾範囲、管理ルールを文書で整備。測量は確定が理想ですが、時間がなければ地積測量図+現地実測で、境界標・間口・接道長さ・隅切りの寸法を写真付きで明示します。

建物が残るなら、建築計画概要書や台帳記載事項、既存不適格の有無をメモ化し、無確認増築の疑いがある場合は現況明示の範囲を先に定義します。

【推奨セット(揃う範囲で可)】

  • 法規系→道路台帳・幅員証明・指定道路図・2項道路台帳・役所回答
  • 権利系→登記事項・私道持分一覧・通行/掘削承諾案・越境覚書案
  • 測量系→確定測量図(なければ地積+実測図)・中心線/後退線入り配置図
  • 建物系→建築概要・図面・インスペクション/設備一覧・現況写真

 

区分 最低限の書類 加点資料(あれば有利)
道路・接道 道路台帳・幅員証明・接道実測写真 2項道路中心線図・役所照会記録
私道権利 登記事項・持分一覧・通行承諾案 掘削/再掘削承諾案・管理覚書
境界・面積 地積測量図 確定測量図・境界標写真・越境一覧

 

資料化で差がつくポイント
  • 図と写真を対で提示→検討が早まる
  • 承諾案は「範囲・承継・復旧基準」まで明記しておく

 

現地点検と是正計画の事前提示

現地点検は内見前に疑義を減らす工程です。接道・後退・越境・擁壁・高低差・インフラ(給排水・ガス・電気)・残置・騒音動線を点検し、是正の道筋を図面+概算で示します。

後退が必要なら、後退線・隅切り・外構移設の範囲を赤入れ図で表示し、数量表と復旧仕様(舗装厚・側溝・桝)を添付。

 

私道は承諾ルート、協力金の考え方、工事車両の通行計画まで記載。設備は水圧・排水・電気容量・ガスを簡易点検し、建物が残るなら雨漏り・蟻害・ひび、無確認増築の可能性を写真で明示。

さらに、整備案A(整備済み販売)と案B(現況販売+是正案添付)の二本立てを示すと、予算と時間に合わせて選べ、失注や大幅指値を防げます。

 

点検項目 確認方法 開示の形
接道・後退 実測・幅員証明・中心線確認 後退線入り配置図・数量表
私道承諾 所有者ヒアリング・登記 承諾案・同意フロー・所要期間
インフラ 水圧・排水テスト・メーター確認 配管系統図・改善費用の概算
建物・外構 写真記録・簡易点検・図面照合 不具合一覧・是正/撤去案

 

是正計画提示のコツ
  • 案A(整備済み)と案B(現況+是正案)を併記→選択肢を提供
  • 数量×単価×復旧仕様で概算→指値の根拠を事前に潰す

 

広告戦略と内見対応

広告は「弱点の正直な開示」と「将来像の提示」を両立させると反響の質が上がります。原稿では、接道不足・後退必要・承諾未取得などのマイナスを先に書き、同じブロックで解決案(是正計画・承諾フロー・工程・概算)を提示。

写真は接道を実測で示すカット(スケールを写す)、間口、隅切り、2項道路の中心線位置、越境、インフラ引込口を必ず掲載。

 

内見は「安全・計測・動線」を重視し、通路の安全確保、計測立会い、車両進入テスト、近隣説明をセットで実施。

質疑には資料バインダーで即応し、内見後のQ&Aを次回以降の事前回答に回すと成約率が高まります。

 

施策 実施内容 期待効果
写真戦略 接道・後退線・中心線・越境・配管口を可視化 問い合わせ前に疑義解消→内見の質向上
原稿構成 弱点→解決案→工程→概算の順で記載 正直な開示で減額余地を縮小
内見オペ 計測立会い・車両進入テスト・近隣説明 当日判断がしやすく申込率が上昇

 

反響〜申込みの改善ポイント
  • 広告PDFに「是正案+概算+工程」の要約を添付
  • 内見後の質疑をFAQ化して追記→再訪判断を早める

 

税金・費用・契約の実務

再建築不可の売却は、価格だけでなく「税金」「付随費用」「契約条件」を先に整理すると、手残りの見通しが立ち交渉も安定します。

税は譲渡所得(所得税・住民税)と復興特例等が前提で、所有期間や自宅か投資かで扱いが変わります。

 

費用は仲介手数料、測量・登記、是正や撤去、残置物処分など。契約は契約不適合責任(旧瑕疵担保)の設計、現況有姿や免責の範囲、残置物・引渡時期の調整が要点。

手段(買取・仲介・入札)ごとに負担の分担が異なるため、同じ前提で見積を並べ、税を含む「手取り基準」で比較しましょう。

 

区分 主な内容 実務ポイント
税金 譲渡所得の計算、所有期間区分、特例可否 自宅/投資で適用が変化→要件を早期確認
費用 仲介料・測量/登記・是正/撤去・残置 見積は2社以上→上下レンジで管理
契約 不適合の免責設計、現況有姿、引渡条件 免責の例外(権利不適合等)を明文化

 

手残り最大化のコツ
  • 税・費用・契約条件を一枚表に集約→価格交渉の土台に
  • 「整備済み」「現況+是正案」など複数シナリオで試算

 

譲渡所得税と特例の基礎知識

譲渡所得は「売価−(取得費+譲渡費用)−特別控除」で算出。取得費には購入代金や仲介手数料、登記費、当時の測量費などが含まれ、証憑が揃うほど有利。

資料が乏しい場合の概算方法もありますが、実額の裏付け収集を先行した方が税負担は下がりやすいです。

所有期間は売却年1月1日時点で5年超か否かで区分が変わるため、決済時期の調整が節税ヒントになることも。

 

特例は用途により適用可否が分かれ、自宅売却では居住用財産の特別控除(いわゆる3,000万円控除)等が代表例ですが、投資用・賃貸は適用外が多く、再建築不可だからといって自動的に広がるわけではありません。

空き家特例も要件(耐震・期間・相続関係)が細かいので、用途・所有期間・取得費の裏付け・譲渡費用の範囲を棚卸しし、候補特例を並べて書類と時期を逆算します。

【準備しておきたい書類】

  • 取得時:売買契約・領収書・登記関連請求・当時の仲介手数料領収書
  • 売却時:売買契約・仲介領収書・測量/解体/撤去の見積と領収書
  • 用途/特例:住民票履歴、利用状況の分かる資料、相続関係書類 等

 

注意したいポイント
  • 居住用特例は「実際の居住事実」等の要件がある
  • 取得費の裏付け不足は課税増に直結→証憑集めを先行

 

契約不適合責任と免責の設計

再建築不可の売買では、契約不適合責任の設計が価格とスピードに直結します。

投資家向けでは「現況有姿」「不適合免責」を基本に交渉される場面が多い一方、免責に限界がある論点(所有権不存在、抵当抹消不能、通行権が実は無い等の権利不適合)は外しにくいのが実務。

 

再建築不可に関する重要情報(道路種別、接道長さ、後退要否、私道の通行/掘削承諾、越境、無確認増築の疑い 等)は告知書・特約で明確化し、影響が大きいものは「表明・保証」の書き方を絞ります。

免責設計では通知期限や上限金額、対象外(消耗品等)の具体化、境界・地積の扱い(公簿売買/実測清算)を特約で統一。

引渡しまでに売主が行う作業(残置撤去、特定越境是正 等)と、買主が前提とする是正(後退・承諾取得)の責任分界点も線引きしておくと、決済間際の揉め事を防げます。

 

条項 狙い 記載ポイント
現況有姿 追加工事の期待を抑える 例外(特定是正)を列挙し線引きを明確に
免責範囲 軽微な不適合のリスクを圧縮 通知期限・上限額・対象外を明文化
再建築不可条項 接道不足等を事前承知で合意 道路種別・後退要否・承諾の有無を併記
境界/地積 面積差・越境の扱いを固定 公簿/実測、越境の是正主体を特約化

 

交渉を円滑にするコツ
  • 告知書・付帯設備表・図面を同時提示→後出しを防ぐ
  • 権利不適合は免責困難→事前整理と特約で線引き

 

残置物・原状回復と引渡条件

残置物と原状回復は、価格に直結し揉めやすい論点。再建築不可は外構撤去や後退前提の移設、残置が多いことが珍しくありません。

基本は「誰が・いつまでに・どこまで」を明文化し、費用負担と検収方法まで決めること。現金買取では「現況・残置そのまま」を受け入れる柔軟性がある一方、数量が過大なら価格へ反映。

仲介では、残置撤去・クリーニング・軽微補修を売主負担にして印象を上げ、価格維持を狙う手があります。

 

引渡条件は決済日、猶予特約、鍵の受渡し、仮使用の可否、占用物の撤去期限などを一覧化し、違反時の扱い(違約金・実費精算)まで定義。

検収は引渡前の立会いで写真を残し、残置ゼロや境界標の確認をチェックリストで締めます。

 

条件 内容例 実務ポイント
残置物 売主撤去/買主引受、数量・期日・負担 写真付目録→検収方法(立会/写真)を定義
原状回復 外構撤去、越境是正、不要設備撤去 範囲を図で赤入れ→境界標の設置確認
引渡し 決済日、猶予、鍵の受渡し、仮使用 猶予は日数・占用料の有無を明記→延長条件も設定

 

トラブル防止チェック
  • 「現況有姿」の定義を写真で固定→認識ズレを防止
  • 残置は品目・数量・場所を目録化→検収の段取りまで合意

 

まとめ

再建築不可の価格は、接道・是正費・活用余地で決まります。高く早く売る鍵は、相場把握→手残り試算→手段選定→情報開示の順序。まず近隣成約と路線価でレンジを掴み、是正費を積算して損益を可視化。

査定は複数社で比較し、承諾や条件表を整え、工程を見える化すれば、減額交渉とキャンセルを抑えながら有利に成約へ近づけます。