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容積率オーバー物件の融資は可能?購入前に知っておきたい審査の仕組みと注意点5つ

容積率の上限を超えている建物を見たとき、「違反建築になるのではないか」「住宅ローンや投資用ローンが利用できるのか」と不安に感じる方は少なくありません。

この記事では、容積率の基本的なルール、容積率オーバー物件が生まれる経緯、金融機関が融資審査で確認するポイント、購入前にチェックしたい項目、将来の資産価値や出口戦略までを、できるだけ平易な言葉で整理します。実際の判断は物件ごと・金融機関ごとに異なるため、ここでの内容を前提知識として踏まえたうえで、慎重に検討していくことが大切です。

 

容積率オーバー物件の基礎知識

容積率オーバー物件と融資の関係を理解するには、まず「容積率とは何か」「どのように上限が決まるのか」「上限を超えるとどのような扱いになるのか」を押さえておく必要があります。

容積率は建築基準法で定められた指標で、「延べ床面積(各階の床面積の合計)÷敷地面積」によって求められ、その土地にどの程度のボリュームの建物を建ててよいかを調整するルールです。

 

実務上、容積率の上限は、都市計画で定められた「指定容積率」と、前面道路の幅員から算出される「道路条件による限度」のうち、小さい方が適用されます。

この上限を超える建物が一般に「容積率オーバー物件」と呼ばれますが、「建てた当時は基準を満たしていたが、後から法令が厳しくなったもの」と、「建築当時から基準を守っていないもの」が混在しており、法的な評価や融資への影響が変わってきます。

 

容積率オーバー物件を見るときの前提ポイント
  • 容積率=延べ床面積÷敷地面積×100(%)で算出する
  • 上限は指定容積率と道路条件による限度のうち小さい方が採用される
  • 上限超過でも、既存不適格か違反建築かで意味合いが大きく異なる

 

容積率の意味と計算のポイント

容積率は、敷地に対してどの程度の延べ床面積を持つ建物を建てられるかを示す割合です。基本的な計算式は次のとおりです。

 

  • 容積率(%)= 延べ床面積(㎡)÷ 敷地面積(㎡)×100

 

たとえば、敷地面積100㎡で指定容積率150%の土地であれば、延べ床面積150㎡までの建物が建てられるイメージになります。2階建てであれば、1階75㎡+2階75㎡といった形が典型的です。

ただし、容積率の計算に含めない床もあり、駐車場の一部や一定条件を満たす地下部分などは容積率の算定から除外されることがあります。

そのため、図面に記載された延べ床面積と、容積率計算の対象となる延べ床面積は必ずしも同じとは限りません。

 

用語 意味
敷地面積 建物が建っている土地の面積。登記簿や公図、測量図などで確認。
延べ床面積 各階の床面積の合計。バルコニーなど一部は含まれないことがある。
容積率 延べ床面積÷敷地面積で求める割合。その土地に建てられる建物の総量の目安。

 

容積率オーバーかどうかを確認する際は、「図面・登記に記載された延べ床面積」と「その土地に適用される容積率の上限」の両方を確認し、計算した結果が上限を超えていないかをチェックすることが基本になります。

 

容積率オーバー物件が生まれる背景

容積率オーバー物件が生じる背景には、主に次のようなパターンがあります。

 

  • 建築当時は基準を守っていたが、その後の法改正や都市計画変更によって、現在の基準では容積率オーバーになっているケース
  • 当初から容積率を超えた計画で建てられた、もしくは増築・改築を重ねる中で徐々にオーバーしたケース
  • 登記や図面が古く、実際の増築部分が反映されておらず、帳簿と現況にズレが生じているケース

 

1つ目のパターンは、いわゆる「既存不適格建築物」に該当する典型例です。建築時点では当時の建築基準法や都市計画の基準を満たしていたものの、その後のルール変更により、現在の基準で見ると容積率オーバーなどの不適合部分が出てしまった建物です。

これに対して、2つ目や3つ目のように、建築時から容積率を明らかに超えていたり、確認申請を経ない違法な増築によって上限を超えてしまっている場合は、現行法でも建築時点でも基準を満たさない「違反建築」と評価される可能性が高くなります。

この場合、行政から是正指導や命令の対象となるリスクがあり、金融機関の融資姿勢にも直接影響します。

 

容積率オーバーになりやすい代表パターン
  • 指定容積率の見直しにより、既存の建物が基準を超える状態になった
  • 確認申請時はギリギリだったところに、その後の増築で上限を超えた
  • 古い図面のままで、実際の増築部分が書類に反映されていない

 

物件ごとの経緯をたどることで、「既存不適格か、明確な違反建築か」を見極める手がかりになります。

 

違反建築と既存不適格の違い

容積率オーバー物件を考えるうえで欠かせないのが、「違反建築」と「既存不適格」の違いです。どちらも現行の基準から見ると適合していない点は共通ですが、「建てた当時にルールを守っていたかどうか」が大きな分かれ目になります。

 

区分 建築時点の状態 主な特徴
既存不適格建築物 建築当時は建築基準法や都市計画に適合していた その後の法改正や用途地域・容積率の変更により、現在の基準では容積率オーバーなどの不適合部分が生じた建物。
違反建築物 建築当初から基準に適合していない、または増築時の手続きに問題がある 容積率や建ぺい率の超過、確認申請と異なる工事など、最初から違法と評価される建物。

 

既存不適格建築物については、建物を建てた当時は適法だったことから、現行基準をさかのぼって強制的に適用するのではなく、「原則として現状のまま存在を認める」という扱いがとられます。

ただし、増築や大規模な改修を行う場合には、現行基準に合わせることが求められる場面もあります。

 

違反建築と既存不適格を混同しないためのポイント
  • 「建てた当時に適法だったか」を切り分けて考える
  • 容積率オーバーでも、既存不適格であれば扱いが異なることがある
  • 違反建築は是正命令や融資拒否など、実務上のハードルが一段高くなりやすい

 

融資の検討では、「単に容積率を超えているかどうか」ではなく、そのオーバーが既存不適格によるものか、違反建築によるものかを、建築時期や確認申請の有無などから整理しておくことが重要です。

 

容積率オーバー物件と融資審査

容積率オーバー物件への融資審査では、「法令適合性」「担保としての価値」「返済能力」の3つの観点が重なって判断されます。

一般的には、違反建築物については住宅ローンや投資用ローンの対象外となるケースが多く、既存不適格建築物についても、金融機関ごとに慎重さの度合いが異なります。

 

また、容積率オーバーであること自体が「担保評価を低めに見る要因」とされることが多く、融資自体は可能でも、通常より自己資金を多めに求められたり、融資割合が抑えられたりすることがあります。

事業者向けローンでは、建物評価をほとんど見ずに土地の価値や賃料収入を重視するなど、住宅ローンとは異なる枠組みで判断されることもあります。

 

容積率オーバー物件の融資審査で見られる主な観点
  • 建築基準法などの法令にどの程度適合しているか
  • 土地・建物を担保にした際の回収可能性(担保評価)
  • 違反・既存不適格の内容が将来の売却や回収に与える影響

 

金融機関が重視する安全性の視点

金融機関が最も重視するのは、貸したお金を将来きちんと回収できるかどうかという「安全性」の視点です。

容積率オーバー物件の場合、建築基準法違反の可能性や、将来の建替え・是正工事に制約があることから、通常の物件よりも担保としての安全度が低く見られがちです。

特に、明らかな違反建築と判断される物件については、多くの金融機関が住宅ローンの対象外としています。

 

一方、既存不適格建築物のように「建築当時は適法だったが、後の法改正で容積率オーバーになっている」ケースでは、物件の状態や超過の程度によっては、一定の条件付きで融資を検討してもらえることもあります。

容積率の超過割合が小さい、構造や耐震性に問題がない、購入者の自己資金や返済能力が十分といった要素は、審査を前向きにする材料になりやすいと考えられます。

 

【金融機関が見やすい安全性のポイント】

  • 既存不適格か違反建築か(建築時の適法性)
  • 容積率オーバーの程度(何%程度超過しているか)
  • 建物の構造・築年数・耐震性などの物理的な安全性
  • 立地や周辺相場から見た将来の売却しやすさ

 

「容積率オーバーだから絶対にローン不可」というわけではありませんが、一般の物件と比較すると、どうしても審査は慎重になりやすい点は押さえておく必要があります。

 

担保評価と融資可能額の考え方

容積率オーバー物件への融資額は、「担保評価」とのバランスで決まります。担保評価とは、万一返済が滞ったときに、担保不動産を売却してどの程度の金額を回収できそうかを金融機関が見積もった金額で、土地と建物を分けて評価するのが一般的です。

容積率オーバー物件の場合、建物の評価は通常より厳しめに行われたり、超過部分の床面積を評価から外されたりするケースがあります。

その結果、実質的には土地の価値を中心に担保評価が行われ、融資可能額も抑えられる傾向があります。

 

評価の対象 一般的な物件 容積率オーバー物件
土地 路線価や公示地価、取引事例などを基に評価 基本的な評価方法は同じだが、違反状況によって市場性が割り引かれることがある
建物 構造・築年数・延べ床面積などを踏まえて評価 超過部分の床面積を評価対象から外したり、建物全体の評価を低めに見ることがある
融資可能額 担保評価額×金融機関ごとの融資割合(例:70〜80%など) 担保評価額が低くなり、結果として融資可能額も少なくなりやすい

 

事業者向けの不動産担保ローンでは、「建物部分の評価はほぼゼロとみなし、土地値と収益性を中心に判断する」といった考え方が取られることもあります。

このような場合、融資自体は受けられても、金利水準や返済条件が住宅ローンと大きく異なるため、「どの商品を使うか」「総返済額はいくらになるか」を冷静に比較する必要があります。

 

担保評価と融資可能額を見るときのポイント
  • 金融機関が土地と建物のどちらを重視して評価しているかを確認する
  • 容積率オーバー部分の床面積が担保評価でどのように扱われているかを聞いておく
  • 同じ物件でも金融機関やローンの種類によって融資可能額が変わる前提で比較する

 

検査済証や違反状況のチェック

容積率オーバー物件の融資可否を検討するうえで、金融機関が重視する資料のひとつが「建築確認済証」と「検査済証」です。

建築確認済証は、建築計画が法令に適合していると確認されたことを示す書類、検査済証は、完成した建物が計画どおりに建てられているかを確認した書類です。

容積率オーバーが疑われる物件では、次のような点を順番に確認していきます。

 

  • 確認申請図面に記載された延べ床面積と、現況の延べ床面積に大きな差がないか
  • 検査済証が発行されているか、紛失している場合は役所で記録が確認できるか
  • 後から行われた増築部分に、確認申請が必要な規模の工事が含まれていないか
  • 役所の建築担当部署で、違反是正の指導や勧告が出ていないか

 

これらの確認を通じて、「容積率オーバーが既存不適格によるものなのか」「当初から違反建築として扱われうるものなのか」が見えてきます。

違反建築と判断される場合、多くの金融機関で住宅ローンの利用が難しくなり、購入者は自己資金や別種のローンを検討せざるを得ないこともあります。

 

検査済証・違反状況を確認するときの注意点
  • 検査済証が手元になくても、築年数や当時の制度によって事情が異なるため、役所での確認が重要
  • 図面と現況に差がある場合は、無申請増築の有無や是正の必要性を確認する
  • 違反の是正が物理的・費用的に可能かどうかも、購入前におおまかに把握しておく

 

融資が通りやすい条件と難しい条件

容積率オーバー物件への融資の通りやすさは、「既存不適格か違反建築か」「容積率オーバーの度合い」「担保力」「借り手の返済能力」といった要素の組み合わせで変わります。

一般的には、既存不適格で超過の程度が小さい物件、土地の評価が高い物件、自己資金が厚く返済負担率に余裕があるケースほど、金融機関が検討しやすいとされています。

反対に、違反建築と評価され、是正も難しい物件や、収益性・市場性が乏しい物件、自己資金が少なく借入額が大きくなりがちなケースでは、融資が通りにくく、通ったとしても融資割合が低くなる傾向があります。

 

融資の通りやすさに影響する主な条件
  • 既存不適格か違反建築か(法令への適合度合い)
  • 容積率オーバーの割合と、是正のしやすさ
  • 土地・建物の担保力と、将来の売却可能性
  • 自己資金の厚さ・年収・他の借入状況など借り手の属性

 

既存不適格の場合の融資可能性

既存不適格は、建築当時は法令に適合していたものの、その後の法改正などによって現在の基準では容積率オーバーになっている状態を指します。

この場合、建築時からルールに反していたわけではないため、違反建築と比較すると金融機関の見方は柔らかくなるケースが多いと考えられます。

 

【既存不適格で融資が検討されやすいケースのイメージ】

  • 建築確認済証・検査済証が揃っており、建築当時は適法だったと確認できる
  • 容積率オーバーの割合が小さく、周辺にも同様の既存不適格物件が多いエリア
  • 土地の評価が高く、将来の売却や担保処分の見通しが立ちやすい
  • 自己資金比率が高く、返済負担率にも余裕がある

 

ただし、既存不適格であっても、建替えの際には現在の容積率上限を守る必要があるため、「同じ規模の建物を再度建てることはできない」可能性があります。この点は、長期的な資産価値や出口戦略を考えるうえで、事前に理解しておきたいポイントです。

 

違反建築扱いとなる場合の融資リスク

一方で、建築当初から容積率基準を満たしていない、または確認申請と異なる工事を行っているなど、「違反建築」と評価される場合は、融資のハードルが大きく上がります。

違反建築は、行政からの是正指導や使用制限の対象になることがあり、将来の売却や担保処分も難しくなりやすいため、多くの金融機関が住宅ローンの対象外とする傾向があります。

 

区分 融資面での扱いイメージ 主なリスク
既存不適格 内容によっては条件付きで住宅ローンが利用できる場合もある。 建替え時に現在より小さな建物しか建てられない可能性など、長期的な制約。
違反建築 住宅ローンは原則対象外とされるケースが多く、事業性ローンなどに限られることも。 是正命令・使用制限・売却困難など、回収リスクが高く、資産価値にも大きな影響。

 

違反建築扱いの物件で注意したい点
  • 融資が付かないことで購入できる人が限られ、売却時に価格交渉で不利になりやすい
  • 将来の売却先が現金購入者や一部の投資家に絞られる可能性がある
  • 是正工事が必要な場合、その費用とメリットを慎重に比較する必要がある

 

違反建築の可能性がある物件は、「購入を避けるのか」「是正を前提に割安価格で検討するのか」など、リスク許容度も含めた慎重な判断が求められます。

 

金融機関別・ローン種類別の対応傾向

容積率オーバー物件への対応は、同じ物件でも「どの金融機関か」「どのローン商品か」によって変わります。

一般的に、大手銀行や一部の地方銀行は審査基準が厳格で、違反建築や容積率オーバー物件には消極的な傾向があります。

一方、地域密着型の信用金庫や一部のノンバンク、事業性ローンを取り扱う金融機関などは、物件の内容や借り手の状況によって柔軟に検討するケースもあります。

 

【ローンの種類ごとのおおまかな傾向】

ローンの種類 特徴 容積率オーバー物件への傾向
住宅ローン 自宅取得が目的。金利が低く返済期間が長い。 違反建築は原則対象外。既存不適格でも内容によって慎重な審査。
アパートローン・投資用ローン 賃貸用など収益物件向け。賃料収入を重視。 収益性と担保力次第で、既存不適格なら検討される場合もある。
事業性ローン・不動産担保ローン 事業資金などを対象。担保評価と返済原資を総合的に判断。 建物評価を抑え、土地値中心で融資検討する例もあり、条件は厳しめになりやすい。

 

金融機関・ローン種類を検討するときのポイント
  • まずは住宅ローンが利用可能かどうかを確認する
  • 難しい場合は、投資用ローンや事業性ローンで対応できるかを検討する
  • 同じ種類のローンでも、金融機関や支店によって判断が異なる前提で複数先に相談する

 

融資前に確認したい物件チェック

容積率オーバー物件で融資を検討する場合は、いきなり金融機関に申し込むのではなく、「物件の状況をどこまで説明できるか」を整理することが重要です。

建築確認済証や検査済証の有無、容積率オーバーの程度、将来の建替え・是正工事の可能性などを事前に把握しておくことで、金融機関とのやり取りもスムーズになり、自分自身の判断材料も増えます。

こうした確認は、売買契約を締結する前から少しずつ進めておくのが理想的です。図面や登記簿だけでは把握しきれない点も多いため、「図面」「現地の状況」「役所での確認」を組み合わせて、総合的にチェックしていくイメージを持つと、リスクの見落としを減らせます。

 

融資前に整理しておきたい3つの視点
  • 書類の確認:確認済証・検査済証・図面・登記内容
  • 数値の確認:容積率オーバーの割合や超過している部分
  • 将来の確認:建替え・減築・是正がどの程度現実的か

 

建築確認済証と検査済証の有無確認

建築確認済証と検査済証は、「建物が計画段階・完成段階の両方でルールに沿っているか」を確認するための基本資料です。

 

書類名 役割のイメージ
建築確認済証 建築計画が建築基準法などの法令に適合していると確認されたことを示す書類。
検査済証 完成した建物が確認申請どおりに建てられているかをチェックし、問題がないと判断された証明書。

 

融資審査では、これらの書類の有無が、違反建築かどうかを判断する際の出発点になります。

売主が手元に保管していないことも多いため、まずは仲介会社を通して有無を確認し、見つからない場合は所管の自治体で記録が残っていないかを確認していくのが一般的な流れです。

 

【確認のステップ例】

  • 売主・仲介会社に、確認済証・検査済証の有無や保管状況を確認する
  • 見つからない場合は、建築年月日や建築主名をもとに役所で閲覧・照会する
  • 確認申請図面と現況の建物(間取り・増築部分など)を見比べる

 

書類が見つからないときの注意点
  • 検査済証がないからといって即違反と決めつけず、築年数や当時の運用も踏まえて確認する
  • 図面と実際の建物が大きく異なる場合は、無申請増築などの可能性を整理する
  • 役所での相談内容や回答は、メモとして残しておくと金融機関への説明に役立つ

 

容積率オーバーの程度の目安

容積率オーバーといっても、基準をわずかに超えているのか、大きく上回っているのかで意味合いが変わります。そのため、「どの程度オーバーしているか」を数字で把握しておくことが重要です。

 

【容積率オーバーを把握する基本的な流れ】

  1. 敷地面積(㎡)と延べ床面積(㎡)を図面・登記から確認する
  2. 適用される指定容積率(%)と、前面道路の幅員から算出される上限を確認する
  3. 延べ床面積÷敷地面積×100(%)で実際の容積率を計算する
  4. 上限との差を見て、「何%程度オーバーしているか」を整理する

 

概ね、オーバーの度合いが小さいほど既存不適格として扱われる可能性が高く、金融機関や行政の感触も比較的柔らかくなりやすいと考えられます。

一方で、大きく基準を超えている場合や、明らかな増築によって超過している場合は、違反建築として扱われるリスクが高くなります。

 

オーバーの程度 イメージ 考えたいポイント
軽微なオーバー 上限をわずかに超えている状態 既存不適格かどうか、周辺の状況も含めて丁寧に確認したい。
中程度のオーバー ワンフロア分の増築など見た目にもボリュームが増えている 増築時期や手続きの有無、減築での是正可能性を検討する。
大きなオーバー 階数追加など明らかに基準から外れている 是正工事にかかるコストや物理的な実現性、融資困難リスクを強く意識する。

 

容積率オーバーの程度を確認するときのチェックポイント
  • 敷地面積・延べ床面積・適用容積率といった前提条件に誤りがないか
  • 容積率算定から除外される床(駐車場・地下など)の扱いを確認しているか
  • どの部分が超過分に当たるのかを、平面図や立面図でイメージできているか

 

将来の建替えや是正工事の見通し

容積率オーバー物件を購入するときに忘れがちなのが、「将来建替えや減築・是正を行うとどうなるか」という視点です。

既存不適格建築物の場合、現状のまま利用することは可能でも、建替えの際には現行基準に合わせる必要があるため、現在より小さな建物しか建てられないケースがあります。違反部分を是正する場合には、増築部分の撤去や間取り変更などが必要となることもあります。

 

【将来の建替え・是正を考えるときの主な視点】

  • 現行の容積率上限を前提に建て直した場合、延べ床面積はどの程度まで確保できるか
  • 超過部分(最上階や後から増築した部分など)を減築すれば適法にできるか
  • 減築・是正により、居室数や賃貸戸数がどの程度変わるか
  • 大規模修繕や建替えのタイミングと合わせて工事を行う現実性があるか

 

将来の見通しを立てるときの注意点
  • 「今の広さ・戸数」を建替え後も維持できるとは限らないことを前提にする
  • 是正工事で収益性や住み心地がどう変わるかを事前に想像しておく
  • 建替え・減築までの保有期間と資金計画を、ざっくりでも検討しておく

 

購入判断とリスク・注意点

容積率オーバー物件を検討する際は、「今いくらで購入できるか」だけでなく、「将来どのくらいで売れるか」「どのタイミングで出口を迎えるか」といった長期的な視点が欠かせません。

既存不適格か違反建築かによって、金融機関の融資姿勢や将来の買い手の層が変わり、結果として資産価値の推移も変わってきます。

 

また、自宅目的で取得するのか、賃貸用として保有するのかによって、重視すべきポイントも違います。

自宅であれば「長期間安心して住めるか」、賃貸用であれば「修繕費や空室リスクを考えても収支が合うか」、売却前提であれば「ローンを使える買い手がどれくらい見込めるか」が重要な判断材料になります。

 

購入前に整理しておきたい視点
  • 自宅用か投資用か、将来売却を前提とするか
  • 容積率オーバーの理由(既存不適格か違反建築か)
  • 融資条件・自己資金・長期の収支見通し
  • 建替え・減築・売却など将来取りうる選択肢

 

資産価値と出口戦略の考え方

資産価値を考えるときには、「現時点の広さ・利便性」と「将来の売却しやすさ・建替えのしやすさ」を分けて整理することが大切です。

容積率オーバー物件は、同じエリア・築年数の物件と比べて購入価格が抑えられることもありますが、将来売却する際には買い手が限られやすく、価格交渉で不利になりやすい面があります。

 

【出口戦略を検討するときの主なパターン】

  • 一定期間、自宅や賃貸として使ったのちに売却する
  • 老朽化のタイミングで建替えや減築を前提にプランを立てる
  • 長期保有を前提に、家賃収入と維持コストのバランスを見ながら保有し続ける

 

出口戦略では、「将来の買い手が利用できるローンの種類」と「建替え時の制約」がポイントになります。

将来的に住宅ローンが使えない物件となると、現金購入者や一部の投資家にターゲットが絞られ、売却期間が長期化したり、価格を下げざるを得ない可能性も出てきます。

 

出口戦略を考えるときの注意点
  • 購入時よりも高く売れることを前提にし過ぎない
  • 修繕費・税金・金利を含めたトータルコストで採算を考える
  • 売却時に、どのような層にニーズがありそうかを事前にイメージしておく

 

賃貸運用・売却時の制約の注意点

容積率オーバー物件を賃貸運用する場合は、「今貸せるかどうか」だけでなく、「将来、法令の運用や市場環境が変わったときにどんな影響が出るか」も意識する必要があります。

違反部分の是正が必要になれば、部屋数を減らす、利用できないスペースが発生する、といった形で賃料収入に影響が出る可能性もあります。

 

売却時には、重要事項説明書などで容積率オーバーの状況や既存不適格・違反建築の区別について説明するのが一般的です。

その結果として、購入希望者からの質問や懸念点も増え、通常の物件より説明や調整に時間がかかることがあります。

ローンが付きにくい物件と判断されれば、価格面での調整を求められる可能性も高くなります。

 

場面 想定される制約 事前に考えておきたいこと
賃貸運用 是正指導による減築リスク/使えないスペース発生の可能性 収支が多少悪化しても耐えられるか、修繕・更新費用の見通し
売却 ローン利用者が限られ、現金・投資家中心のマーケットになりやすい 見込める売却価格帯や売却期間、値下げ余地をあらかじめ想定しておく

 

賃貸・売却の両面で意識したいポイント
  • 「法令上の位置づけ」と「現況の使い方」のギャップがないか確認する
  • 賃貸中に是正が必要になった場合の対応方針を、ある程度想定しておく
  • 出口を迎えるタイミングと条件を、ざっくりでもシミュレーションしておく

 

専門家や金融機関への相談タイミング

容積率オーバー物件を検討するときの相談先としては、構造や法令面の確認を行う建築士や不動産会社、契約内容や権利関係を確認する弁護士、資金計画や税務面を整理する税理士、実際に融資可否を判断する金融機関などが挙げられます。

すべてに同時に相談する必要はありませんが、それぞれ得意分野が異なるため、状況に応じて組み合わせていくイメージです。

 

【相談タイミングの目安】

  • 物件情報の段階:容積率オーバーの可能性があれば、仲介会社や建築士に概要を確認
  • 購入候補として絞り込んだ段階:図面・登記・役所での情報を集めて整理する
  • 資金計画を具体化したい段階:金融機関に事前審査を依頼し、利用可能なローンの種類や条件を把握
  • 契約条件やリスク分担が不安な段階:必要に応じて法律・税務の専門家に意見を聞く

 

相談をスムーズに進めるための準備ポイント
  • 登記簿謄本、図面、固定資産税納税通知書などの基本書類を手元に揃えておく
  • 自宅用か投資用か、保有期間のイメージなど、自分の希望条件を簡単にまとめておく
  • 融資・違反の有無・建替えなど、気になっているポイントを箇条書きにしてから相談する

 

まとめ

容積率オーバー物件は、違反建築なのか既存不適格なのかによって、融資の受けやすさや将来の資産価値が大きく変わります。

購入前には、①容積率の基準とオーバーの程度 ②建築確認済証・検査済証など書類の有無 ③金融機関ごとの融資方針 ④建替えや是正工事の現実性 ⑤賃貸運用や売却を含めた出口戦略といったポイントを整理することが重要です。

図面や役所での確認を通じて物件の状況をできるだけ把握し、そのうえで金融機関や専門家にも相談しながら、自分の資金計画やリスク許容度に合った判断を心がけていきましょう。