不動産投資で更新料を見込む場合、相場感や契約条件を理解していないと、収支計画を実態より高く見積もるおそれがあります。
この記事では、更新料の基本、家賃何か月分で見る考え方、エリアや物件タイプによる違い、収支計算への入れ方、契約前に確認したい項目を整理します。実際の判断では、管理会社や専門家、金融機関にも確認しながら検討しましょう。
更新料の基本を押さえる
更新料とは、賃貸借契約を更新する際に、借主から貸主へ支払われることがある一時金です。不動産投資では、家賃収入とは別の収入として見込まれる場合がありますが、全国一律で必ず発生する費用ではありません。
更新料の有無や金額は、地域の慣習、物件の募集条件、賃貸借契約書の定め方によって変わります。
投資家側から見ると、更新料は収入を増やす要素に見える一方で、入居者の負担にもなります。相場より高い更新料を設定すると、更新時の退去や交渉につながる可能性もあります。
そのため、更新料は「取れる収入」として単純に考えるのではなく、入居継続率、空室リスク、周辺相場、契約内容と合わせて判断することが大切です。
- 更新料は契約更新時に発生することがある一時金
- 法令で全国一律に金額が決まっている費用ではない
- 契約書に定めがあるかどうかが重要になる
- 収支だけでなく入居者負担としても見る
更新料とは何か
更新料は、普通借家契約などで契約期間が満了し、借主が住み続ける際に支払うことがある費用です。
一般的には、2年契約の更新時に家賃の0.5か月分〜1か月分程度など、家賃を基準に設定されることがあります。ただし、これはあくまでよく見られる目安であり、地域や物件、契約内容によって異なります。
不動産投資においては、更新料を毎月の家賃収入と同じように安定収入として扱うのは避けたほうがよいでしょう。
入居者が更新せず退去すれば発生しませんし、契約条件によっては更新料を設定していない物件もあります。
また、管理会社が更新手続きに関与する場合、更新料の一部や別途の更新事務手数料が発生することもあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支払う人 | 借主が貸主に支払う形で定められることがあります。 |
| 受け取る人 | 原則として貸主の収入になりますが、管理契約の内容によって扱いを確認する必要があります。 |
| 発生時期 | 契約更新時に発生することが多く、2年ごとの更新で設定される例があります。 |
| 金額の考え方 | 家賃の何か月分かで見ることが多いものの、地域差や契約条件があります。 |
賃貸借契約との関係
更新料は、賃貸借契約書にどのように記載されているかが重要です。借主が更新料を支払う条件、金額、支払時期、更新事務手数料との違いなどが明確でなければ、更新時にトラブルになる可能性があります。
投資物件を購入する場合は、レントロールだけでなく、既存入居者の賃貸借契約書や重要事項説明書の内容も確認する必要があります。
また、契約上は更新料の記載があっても、実務上どの程度回収できているかは別問題です。管理会社が更新手続きを行っている場合、過去の更新実績、未収の有無、入居者への案内方法なども確認しましょう。
購入前の収支シミュレーションでは、契約書上の金額だけでなく、実際の運用状況まで見ておくことが大切です。
- 更新料の金額と支払時期が明記されているか
- 更新事務手数料と混同していないか
- 既存入居者の契約条件にばらつきがないか
- 過去に更新料の未収や交渉がないか
地域差が出やすい理由
更新料は、地域の賃貸慣習の影響を受けやすい費用です。関東圏では更新料を設定する物件が比較的見られる一方、地域によっては更新料を設定しない契約も少なくありません。
借主側も地域ごとの慣習に慣れているため、更新料が一般的ではない地域で高めに設定すると、募集時や更新時に不利になる可能性があります。
不動産投資では、物件所在地の相場を確認せずに一律で更新料を見込むのは避ける必要があります。たとえば、同じ家賃8万円の物件でも、更新料が家賃1か月分のエリアと、更新料なしが一般的なエリアでは、年間収支の見方が変わります。
更新料は物件単体ではなく、周辺の募集条件、管理会社の実務、入居者層の受け止め方まで含めて確認しましょう。
【地域差を見るときの確認ポイント】
- 同じエリアの募集物件で更新料が設定されているか
- 更新料が家賃何か月分で設定されているか
- 更新料なしの物件が多い地域ではないか
- 管理会社がその地域の慣習を把握しているか
更新料相場の見方
不動産投資で更新料相場を見るときは、「家賃何か月分か」「どのエリアか」「どの物件タイプか」の3つを分けて確認します。
更新料は家賃の1か月分と説明されることがありますが、すべての地域や物件に当てはまるわけではありません。実際には、0.5か月分、1か月分、更新料なしなど、条件に幅があります。
相場を調べる際は、物件所在地の賃貸募集サイト、管理会社の募集事例、既存入居者の契約書、周辺の競合物件を見比べることが大切です。売買資料に更新料収入が記載されている場合でも、その金額が今後も継続して得られるとは限りません。
更新料は、入居者が更新して初めて発生するため、更新率や空室率と合わせて見る必要があります。
| 確認軸 | 見る内容 | 投資判断での使い方 |
|---|---|---|
| 金額 | 家賃の何か月分かを確認します。 | 年間収入に入れる場合は保守的に見積もります。 |
| エリア | 地域の慣習や競合物件の条件を確認します。 | 相場から外れた設定になっていないかを見ます。 |
| 物件タイプ | 単身向け、ファミリー向け、店舗などの違いを確認します。 | 入居期間や更新率を想定する材料にします。 |
家賃何か月分で見るか
更新料相場は、家賃の何か月分かで把握するのが分かりやすい方法です。よく見られる目安としては、家賃0.5か月分〜1か月分程度があります。ただし、これは一般的な目安であり、物件所在地や契約内容によって異なります。
更新料なしで募集されている地域や物件もあるため、売主や仲介会社の説明だけで判断しないことが大切です。
たとえば、月額家賃8万円、更新料1か月分、契約期間2年の場合、更新時に8万円の更新料が発生する計算です。ただし、借主が退去すれば更新料は発生せず、空室期間や原状回復費、広告費が発生する場合もあります。
更新料を収支に入れる場合は、満額で毎回受け取れる前提ではなく、更新率を反映した控えめな見方が向いています。
- 家賃0.5か月分〜1か月分程度を目安に見ることがある
- 更新料なしの契約もあるため地域相場を確認する
- 発生するのは入居者が更新した場合に限られる
- 収支計算では更新率を反映して考える
エリア別の違いを見る
更新料はエリアによって扱いが大きく変わります。都市部では更新料を設定する物件が見られる一方、地域によっては更新料なしが一般的な場合もあります。
投資物件を検討する際は、都道府県や市区町村単位だけでなく、駅周辺、学生街、住宅地、郊外エリアなど、入居者層に近い範囲で比較することが大切です。
エリア別の違いを見る際は、同じ家賃帯、同じ間取り、同じ築年数帯の募集条件を確認します。更新料の有無だけでなく、礼金、敷金、保証会社費用、火災保険料、更新事務手数料なども含めて、借主の総負担を見ます。
更新料だけを高く設定すると、募集時の比較で不利になる可能性があるため、周辺条件との整合性が重要です。
| 比較対象 | 確認する内容 |
|---|---|
| 同一エリア | 同じ駅や近隣エリアで、更新料が設定されている物件が多いかを確認します。 |
| 同じ家賃帯 | 家賃が近い物件の更新料が何か月分かを見ます。 |
| 同じ間取り | 単身向け、ファミリー向けなど入居者層が近い物件で比較します。 |
| 初期費用全体 | 更新料だけでなく、礼金や保証料など借主負担の総額を確認します。 |
物件タイプごとの差を見る
更新料の見方は、物件タイプによっても変わります。単身向けマンションやアパートでは、進学、就職、転勤などで入居期間が短くなりやすく、更新前に退去するケースもあります。
一方、ファミリー向け物件では、学校区や生活環境の都合で長く住む入居者もいますが、更新料が負担に感じられると住み替えを検討される可能性もあります。
戸建て賃貸では、長期入居が見込まれる場合がある一方、家賃が高いほど更新料の金額も大きくなります。
店舗や事務所などの事業用物件では、居住用と契約条件が異なることがあるため、更新料、再契約料、保証金、償却の扱いを分けて確認する必要があります。物件タイプごとの入居期間や退去リスクを見ながら、更新料を収支に反映しましょう。
【物件タイプ別の確認ポイント】
- 単身向けは更新前退去の可能性を見込む
- ファミリー向けは長期入居と負担感をあわせて見る
- 戸建て賃貸は家賃水準と更新料額の大きさを確認する
- 事業用物件は居住用と契約条件を分けて確認する
収支への影響を計算する
更新料は不動産投資の収支にプラスとなる場合がありますが、毎月安定して入る家賃とは性質が異なります。更新時に入居者が住み続けた場合に発生する一時金であり、退去や交渉、未収があれば想定どおりに入らない可能性があります。
そのため、収支計算では、更新料を満額で固定収入として扱うのではなく、発生頻度と更新率を反映して考えることが重要です。
たとえば、2年ごとに更新料が発生する契約であれば、単純計算では更新料を2年で割って年間換算します。ただし、実務上は全員が更新するとは限らないため、空室率や更新率を加味した保守的なシミュレーションが向いています。
また、管理会社へ更新事務手数料を支払う場合は、貸主の手残りが減るため、総収入ではなく実際に残る金額を確認しましょう。
- 更新料は毎月の固定収入とは分けて考える
- 契約期間に応じて年間換算する
- 更新率や空室率を反映して保守的に見る
- 管理手数料や更新事務手数料も差し引いて確認する
年間収入に入れる考え方
更新料を年間収入に入れる場合は、契約期間に応じて年換算します。たとえば、月額家賃8万円、更新料1か月分、契約期間2年という前提では、入居者が更新すれば2年ごとに8万円の更新料が発生します。
単純に年換算すると、8万円÷2年で年間4万円です。ただし、この金額をそのまま確実な収入として扱うのは慎重に考える必要があります。
より現実に近づけるには、更新率を掛けて見ます。仮に更新率80%を前提にするなら、年間換算4万円×80%で、期待値は年間3万2,000円です。さらに、管理会社への手数料や未収リスクがある場合は、手残りは下がります。
物件購入時の収支表に更新料が含まれている場合は、どのような前提で計算されているかを確認しましょう。
| 前提条件 | 計算の考え方 |
|---|---|
| 月額家賃 | 8万円とします。 |
| 更新料 | 家賃1か月分の8万円とします。 |
| 契約期間 | 2年ごとの更新とします。 |
| 単純年換算 | 8万円÷2年=年間4万円です。 |
| 更新率反映後 | 更新率80%なら、年間4万円×80%=年間3万2,000円です。 |
空室率と更新率を反映する
更新料を収支に入れるときは、空室率と更新率を分けて考える必要があります。空室率は、年間を通じて部屋が空いている割合の目安です。
更新率は、契約満了時に入居者が退去せず、契約を更新する割合の目安です。どちらも物件の立地、家賃設定、入居者層、管理状況によって変わります。
たとえば、学生向けや単身者向けの物件では、卒業や転勤による退去が起きやすく、更新料を安定的に見込みにくい場合があります。
一方、ファミリー向けや生活利便性の高い物件では、長期入居につながる可能性もありますが、更新料の負担が大きいと退去のきっかけになることもあります。更新料を収支に反映する際は、過去の更新実績や退去理由を管理会社に確認することが大切です。
【更新率を確認する項目】
- 過去に更新した入居者の割合
- 更新前に退去した入居者の理由
- 更新料の請求時に交渉や未収があったか
- 同じエリアの平均的な入居期間
管理手数料との関係を見る
更新料を収支に入れる際は、管理会社との契約内容も確認します。管理会社が更新案内、契約書作成、保証会社や火災保険の更新案内などを行う場合、更新事務手数料が発生することがあります。
この手数料が借主負担なのか、貸主負担なのか、または更新料の一部から差し引かれるのかは、管理委託契約によって異なります。
投資家が見るべきなのは、更新料の総額ではなく、最終的に貸主に残る手取り額です。たとえば、更新料8万円を受け取る契約でも、管理会社への手数料や消費税相当の負担、未収対応の費用などがあれば、実際の収入は下がります。
購入前には、レントロールに記載された更新料収入と、管理委託契約上の手数料負担を照合しておきましょう。
- 更新料の全額が貸主に入るとは限らない
- 更新事務手数料の負担者を確認する
- 管理委託契約書で差し引き条件を見る
- 収支表では手取り額で計算する
契約前に確認する項目
更新料を不動産投資の収支に入れる前に、まず確認したいのは契約書上の根拠です。更新料は、家賃のように毎月当然に発生する収入ではなく、賃貸借契約の更新時に、契約内容に基づいて発生する一時金です。
そのため、売買資料やレントロールに更新料の記載があっても、既存入居者の賃貸借契約書に明確な定めがあるかを確認する必要があります。
また、更新料と更新事務手数料は性質が異なります。更新料は貸主が受け取る一時金として扱われることが多い一方、更新事務手数料は管理会社や仲介会社が更新手続きの対価として受け取る費用です。
投資家が収支を見る際は、借主が支払う総額ではなく、貸主に最終的に残る金額を確認することが大切です。
- 賃貸借契約書に更新料の定めがあるか
- 更新料と更新事務手数料を分けて確認する
- 既存入居者への説明内容と契約書が一致しているか
- 管理委託契約書で手数料の差し引きを確認する
契約書の更新条項を見る
更新料を確認する際は、賃貸借契約書の更新条項を見ます。確認したいのは、契約期間、更新の方法、更新料の金額、支払時期、支払先、未払い時の扱いです。
たとえば「契約更新時に新賃料の1か月分を支払う」といった記載がある場合、家賃改定後の金額を基準にするのか、現在の家賃を基準にするのかを確認する必要があります。
中古の収益物件を購入する場合は、部屋ごとに契約条件が異なることがあります。同じ建物内でも、ある部屋は更新料1か月分、別の部屋は更新料なしというケースも考えられます。
レントロール上の平均値だけで判断せず、賃貸借契約書の写しや入居者ごとの契約条件を確認しましょう。契約条項があいまいな場合は、将来の更新時に借主と認識がずれる可能性があります。
| 確認項目 | 見る内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 2年契約など、更新料が発生する周期を確認します。 |
| 更新料の金額 | 家賃何か月分か、固定額か、新賃料基準かを確認します。 |
| 支払時期 | 更新前、更新日、更新後のどの時点で支払うかを確認します。 |
| 部屋ごとの差 | 入居者ごとに更新料の有無や金額が違わないかを確認します。 |
更新事務手数料と分ける
更新料と更新事務手数料は、名前が似ていますが収支上の扱いが異なります。更新料は、賃貸借契約の更新に伴って借主が貸主へ支払う一時金として設定されることがあります。
一方、更新事務手数料は、更新書類の作成、借主への案内、保証会社や火災保険の更新確認など、管理会社や仲介会社の事務手続きに対する費用です。
投資家が注意したいのは、借主が支払った金額のすべてが貸主の収入になるとは限らない点です。
たとえば、借主が更新時に家賃1か月分を支払う条件でも、そのうち一定額が管理会社の更新事務手数料として差し引かれる場合があります。管理委託契約書や精算書を確認し、総額ではなく手取り額で収支を見ましょう。
- 更新料は貸主の収入として設定されることがある
- 更新事務手数料は手続きの対価として発生することがある
- 負担者が借主か貸主かを確認する
- 収支計算では貸主の手取り額を見る
入居者説明との整合を見る
更新料は、入居者が契約時に内容を理解していることが重要です。賃貸借契約では、契約書や重要事項説明書などで、更新料の有無、金額、支払時期が分かりやすく示されているかを確認します。
借主にとって負担となる条件は、内容が不明確なままだと更新時の交渉やトラブルにつながる可能性があります。
投資用物件を購入する場合、売主や管理会社が過去にどのような説明をしていたかも確認しておくとよいでしょう。契約書には更新料の記載があるものの、募集図面や入居時の説明と整合していない場合、借主側の認識とずれることがあります。
また、管理会社が変更される場合は、更新案内の方法や請求タイミングが変わり、回収状況に影響することもあります。
【整合性のチェックリスト】
- 賃貸借契約書に更新料が明記されているか
- 重要事項説明書や募集条件と矛盾がないか
- 過去の更新時に交渉や未収がなかったか
- 管理会社変更後も同じ条件で運用できるか
更新料で起きやすいリスク
更新料は貸主にとって収入になる場合がありますが、入居者にとっては更新時の一時的な負担です。そのため、相場より高い更新料や説明が不十分な更新料は、退去、交渉、未払いなどのリスクにつながることがあります。
不動産投資では、更新料収入だけに注目せず、入居継続率や空室期間への影響もあわせて見る必要があります。
特に、周辺に更新料なしの競合物件が多いエリアでは、更新料が入居者離れの要因になる場合があります。
更新料を受け取れても、その後に退去が発生し、原状回復費や広告費、空室期間が発生すれば、結果的に収支が悪化することもあります。更新料は、短期的な収入ではなく、長期的な賃貸経営の中でバランスを見る項目です。
| リスク | 起きやすい場面 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 退去 | 更新時の負担が大きい場合に起きることがあります。 | 周辺相場と更新料なし物件の有無を確認します。 |
| 交渉 | 借主が金額や説明内容に納得していない場合に起きることがあります。 | 契約書と過去の説明内容を確認します。 |
| 未収 | 支払時期や請求方法があいまいな場合に起きることがあります。 | 管理会社の請求実務と回収履歴を確認します。 |
入居者離れにつながる場合
更新料が入居者離れにつながるかどうかは、エリア相場、家賃水準、物件の満足度、入居者層によって変わります。たとえば、近隣に同じような家賃で更新料なしの物件が多い場合、更新時に住み替えを検討される可能性があります。
単身者向け物件では、転勤や進学、就職などのタイミングと重なると、更新料が退去判断の一因になることもあります。
一方で、物件の立地や管理状態に満足している入居者であれば、更新料があっても住み続ける場合があります。
そのため、更新料の金額だけでなく、家賃の妥当性、設備の状態、管理対応、周辺競合との比較をあわせて見ることが大切です。投資判断では、更新料を得ることによる収入増と、退去による空室損失を比較して考えましょう。
- 周辺に更新料なしの物件が多い
- 家賃や管理状態に対する満足度が低い
- 更新料の金額が入居者に重く感じられる
- 更新時期が転勤や進学の時期と重なる
滞納や交渉が起きる場合
更新料は一時金として発生するため、借主の家計状況によっては支払いが遅れることがあります。
特に、家賃1か月分以上の更新料、火災保険料、保証会社の更新料、更新事務手数料などが同じ時期に重なると、入居者の負担は大きくなります。貸主側は、更新料だけでなく更新時に発生する総額を把握しておく必要があります。
また、契約書の記載が分かりにくい場合や、入居時の説明と異なる印象を持たれている場合、更新時に減額交渉や支払い時期の相談が起きることもあります。
こうしたリスクを抑えるには、契約時点で条件を明確にし、更新前に余裕を持って案内することが重要です。購入済み物件では、過去の滞納履歴や更新時の交渉履歴を管理会社に確認しましょう。
| 確認項目 | 見る内容 |
|---|---|
| 更新時の総額 | 更新料、更新事務手数料、保険料、保証会社費用などを合算して確認します。 |
| 請求時期 | 借主へいつ案内し、いつまでに支払う条件かを確認します。 |
| 過去の履歴 | 更新料の滞納、分割相談、減額交渉があったかを確認します。 |
| 管理体制 | 管理会社が更新案内や督促をどこまで行うかを確認します。 |
相場より高い設定の注意点
更新料を相場より高く設定すると、短期的には収入が増えるように見える場合があります。しかし、入居者の負担感が強くなれば、更新前の退去、募集時の競争力低下、更新時の交渉につながる可能性があります。
特に、更新料なしの物件が多い地域や、家賃水準が高い物件では、家賃何か月分という設定が入居者にとって大きな負担になることがあります。
投資家は、更新料を「高く設定すれば収益が上がる」と単純に考えないことが大切です。たとえば、更新料を家賃1か月分から2か月分にしたとしても、それが退去につながれば、空室期間、原状回復費、広告費で収支が悪化する可能性があります。
相場より高い設定を検討する場合は、管理会社の意見や周辺募集条件、過去の更新率を踏まえて慎重に判断しましょう。
【高めに設定する前のチェックリスト】
- 周辺物件の更新料水準と大きくずれていないか
- 更新料なし物件との競争で不利にならないか
- 退去時の空室損失や再募集費用を見込んでいるか
- 契約書で明確に説明できる内容になっているか
投資判断での活かし方
更新料は、不動産投資の収支を考えるうえで参考になる収入項目です。ただし、更新料だけを重視して物件の良し悪しを判断するのは避ける必要があります。
更新料は入居者が契約を更新した場合に発生するものであり、空室、退去、交渉、管理手数料によって実際の手取りが変わります。投資判断では、家賃収入、空室率、修繕費、管理費、融資返済、税金、売却可能性とあわせて確認することが大切です。
特に、更新料収入を利回りに含める場合は、前提条件を明確にしましょう。満室、全員更新、未収なしという前提は、実態より楽観的になる可能性があります。
長期保有を想定するなら、更新料を「得られるかもしれない収入」として保守的に扱い、発生しなくても返済や運営に無理が出ないかを確認する必要があります。
- 更新料は補助的な収入として見る
- 更新率と空室率を反映して試算する
- 管理手数料を差し引いた手取りで見る
- 長期保有と売却時の条件も含めて判断する
利回りだけで判断しない
更新料を含めると、物件の年間収入が増え、表面上の利回りが高く見える場合があります。しかし、更新料は毎月の家賃のように継続して入る収入ではありません。
入居者が退去すれば発生せず、更新料を請求しても未収や交渉が起きる場合があります。そのため、更新料込みの利回りだけで物件を評価するのは慎重に考える必要があります。
収支を見る際は、更新料を含めたケースと含めないケースを分けて試算すると、リスクを把握しやすくなります。
たとえば、更新料込みでは黒字に見えても、更新料なしでは返済後の手残りが少ない場合、空室や修繕が発生したときに資金繰りが厳しくなる可能性があります。更新料は利回りを補う要素ではなく、収支の感度を確認する材料として使いましょう。
| 見方 | 確認する内容 |
|---|---|
| 更新料あり | 更新率や手数料を反映したうえで、年間収入にどの程度影響するかを確認します。 |
| 更新料なし | 更新料が発生しなくても返済や管理費をまかなえるかを確認します。 |
| 退去発生時 | 空室期間、原状回復費、広告費が出ても収支が大きく崩れないかを確認します。 |
長期保有の収支で見る
更新料は、長期保有の収支で見ることが大切です。1回の更新料だけを見ればまとまった収入に見えても、長期では入居者の入れ替わり、家賃下落、修繕費、設備交換、金利上昇などの影響を受けます。
更新料収入がある年とない年でキャッシュフローが変わるため、毎年同じ金額が入る前提で計算しないほうが現実的です。
たとえば、10年間保有する前提なら、入居者が何回更新する可能性があるか、途中退去がどの程度起きるか、再募集時に更新料を設定できるかを考えます。
エリア相場が変われば、将来は更新料なしで募集したほうが入居付けしやすい場合もあります。長期の収支表では、更新料を保守的に見込み、発生しない年の資金繰りも確認しておきましょう。
【長期収支で見る項目】
- 10年間など保有期間ごとの更新回数
- 入居者の平均入居期間と退去時期
- 家賃下落や設備修繕との関係
- 更新料がない場合の返済余力
管理会社へ確認する内容
更新料の実態を把握するには、管理会社への確認が欠かせません。管理会社は、過去の更新実績、入居者からの反応、周辺相場、更新事務手数料、請求方法などを把握している場合があります。
売買資料に更新料収入が記載されていても、実際にどれくらい回収できているか、管理会社がどのように案内しているかを確認しましょう。
確認する際は、更新率、未収履歴、減額交渉の有無、更新時の退去率、借主負担の総額、貸主の手取り額を整理します。
また、購入後に管理会社を変更する場合は、既存契約の更新条件を引き継げるか、更新案内の方法が変わらないかも確認が必要です。投資判断では、契約書上の金額だけでなく、現場で運用できている条件かどうかを重視しましょう。
- 過去の更新率と更新時退去の傾向
- 更新料の未収や減額交渉の有無
- 更新事務手数料の負担者と金額
- 周辺エリアで更新料が一般的かどうか
まとめ
更新料は、賃貸借契約の条件や地域慣習によって扱いが変わるため、不動産投資の収支に入れる際は慎重に確認する必要があります。相場は家賃何か月分かだけでなく、エリア、物件タイプ、更新率、空室率、管理手数料との関係まで含めて見ることが大切です。
購入前には契約書の更新条項や入居者への説明内容を確認し、長期保有時の収支に無理がないかを管理会社などに相談しながら検討しましょう。





















