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不動産投資のフリーレントとは?空室対策で見る収支と契約条件

不動産投資で空室対策を考える際、フリーレントを使うべきか迷う方は少なくありません。一定期間の家賃を無料にすることで入居のきっかけを作れる一方、収支や契約条件を確認しないと手残りに影響する可能性があります。

この記事では、フリーレントの仕組み、賃下げとの違い、収支計算、契約時の確認点を整理します。具体的な条件は、管理会社や専門家に確認しながら判断しましょう。

 

フリーレントの基本

フリーレントとは、賃貸借契約の開始後、一定期間の家賃を無料にする募集条件のことです。不動産投資では、空室期間を短くしたいときや、入居者の初期費用負担を抑えて募集反響を増やしたいときに使われることがあります。

家賃そのものを恒久的に下げるのではなく、契約開始直後の一定期間だけ賃料を免除する点が特徴です。

 

ただし、無料になる範囲は契約条件によって異なり、賃料だけが対象で、管理費や共益費、駐車場代、火災保険料、保証料などは別途必要になる場合があります。

投資家側は、空室損失を抑える効果だけでなく、無料期間分の収入減、短期解約時の対応、実質利回りへの影響を確認することが大切です。

 

項目 確認する内容
目的 空室期間の短縮や募集反響の増加を狙う条件として使われる
対象期間 契約開始から一定期間の家賃を無料にする形が一般的
無料範囲 家賃のみか、管理費・共益費まで含むかを契約で確認する
投資判断 無料期間分の収入減と入居期間の見込みを合わせて見る

 

一定期間の家賃を無料にする仕組み

フリーレントは、契約開始後の一定期間について、借主が家賃を支払わなくてもよい条件を付ける仕組みです。たとえば家賃80,000円の物件で「1カ月フリーレント」とする場合、貸主側は初月分の家賃80,000円を受け取らない前提になります。

借主にとっては初期費用を抑えやすく、貸主にとっては空室期間が長引く前に入居を決めやすくなる可能性があります。

ただし、不動産投資では無料期間中もローン返済、管理委託費、固定資産税、火災保険料、修繕費などの負担は残ります。家賃が入らない期間を設ける以上、表面上の募集条件だけでなく、年間収支にどの程度影響するかを確認する必要があります。

 

仕組みを理解する要点
  • 無料になるのは契約で定めた一定期間の家賃です
  • 貸主側には無料期間中も保有コストが発生します
  • 空室期間を短縮できるかが判断の軸になります
  • 短期解約時の扱いは契約条件で確認します

 

管理費や共益費の扱い

フリーレントと聞くと、入居者が契約開始後しばらく一切の費用を払わなくてよいと考えがちですが、実際には無料になる範囲を契約条件ごとに確認する必要があります。賃貸住宅では、家賃とは別に管理費や共益費が設定されていることがあります。

管理費や共益費は、共用部分の維持管理、清掃、設備管理などの費用に充てられる性質があるため、フリーレントの対象外とされる場合もあります。

また、駐車場代、町内会費、保証会社の保証料、火災保険料、鍵交換費用なども、家賃とは別に扱われることが一般的です。

 

費用項目 フリーレント時の確認点
家賃 無料期間の対象になりやすい中心項目
管理費・共益費 無料対象に含むか、毎月支払いが必要かを確認する
駐車場代 住戸賃料と別契約の場合、対象外になることがある
保険料・保証料 契約時の初期費用として別途必要になることが多い

 

貸主側は、募集広告や賃貸借契約書で「何が無料になるのか」を明確にしておくことが大切です。説明が曖昧だと、入居者との認識違いにつながる可能性があります。

 

賃下げとの違いを理解する

フリーレントと賃下げは、どちらも入居者にとって負担を軽くする募集条件ですが、投資家側の収支への影響は異なります。賃下げは毎月の家賃を下げるため、入居期間が長くなるほど収入減が積み上がります。

一方、フリーレントは一定期間の家賃を無料にするため、収入減は原則として初期に集中します。

たとえば家賃80,000円を1カ月無料にする場合の収入減は80,000円ですが、家賃を月3,000円下げると、2年間で72,000円、3年間で108,000円の減収になります。実際の判断では、想定入居期間や周辺相場とのバランスを確認する必要があります。

 

【賃下げと比較するときの視点】

  • 短期間の減収で済むのか、毎月の家賃を下げ続けるのか
  • 募集家賃を相場から大きく外していないか
  • 将来の更新や売却時に家賃水準が影響しないか
  • 入居者の初期費用負担をどこまで下げたいのか

 

賃下げのほうが適している場合もあれば、フリーレントのほうが収支を保ちやすい場合もあります。単純な反響数だけでなく、長期の家賃収入への影響を比較しましょう。

 

空室対策で使う場面

フリーレントは、空室が出たときに無条件で使うものではなく、空室の原因や募集状況に応じて検討する施策です。家賃が相場より高い、室内設備が古い、立地面で競合に劣る、募集時期を逃しているなど、空室の理由は物件ごとに異なります。

フリーレントは入居時の負担を下げる効果が期待できますが、物件そのものの魅力不足を根本的に解決するものではありません。

 

投資家側は、管理会社からの反響数、内見数、申込状況、競合物件の条件を確認し、賃料調整や設備改善と比較しながら使うかどうかを判断する必要があります。

特にローン返済中の物件では、無料期間がキャッシュフローに与える影響も見ておくことが大切です。

 

使う前に注意したいこと
  • 空室原因を確認せずに条件だけを緩めない
  • 無料期間分の家賃減少を収支に反映する
  • 短期解約時のリスクを契約で整理する
  • 設備改善や家賃見直しとの比較を行う

 

募集反響を増やしたい物件

募集反響が少ない物件では、フリーレントが検討されることがあります。反響とは、賃貸ポータルサイトや不動産会社への問い合わせ、内見希望、申込につながる動きのことです。

周辺に似た条件の物件が多い場合、入居者は家賃、初期費用、駅距離、築年数、設備、インターネット環境などを比較します。その中でフリーレントが付いていると、初期費用を抑えたい入居者の目に留まりやすくなる可能性があります。

ただし、反響が少ない原因が賃料水準のズレや設備の古さにある場合、フリーレントだけでは十分な改善につながらないこともあります。

 

確認項目 見直す内容
掲載状況 賃貸サイトの写真、間取り、設備情報が分かりやすいか
家賃水準 同じエリア、面積、築年数の物件と比べて高すぎないか
初期費用 敷金、礼金、保証料、仲介手数料を含めた負担感が大きくないか
内見数 問い合わせはあるのに申込に至らない理由がないか

 

フリーレントは募集条件の一部として有効に働く場合がありますが、まず反響が少ない理由を整理することが大切です。

 

初期費用を抑えたい入居者層

フリーレントは、入居時の初期費用を抑えたい入居者層に訴求しやすい条件です。賃貸契約では、家賃のほかに敷金、礼金、仲介手数料、保証会社の保証料、火災保険料、鍵交換費用、前家賃などが発生することがあります。

特に転勤、進学、単身赴任、住み替えなどでまとまった支出が重なる入居者にとって、契約開始後の家賃が一定期間無料になることは検討材料になります。

ただし、投資家側から見ると、初期費用を下げるための施策はフリーレントだけではありません。礼金の見直し、敷金の扱い、設備改善、インターネット無料化などと比較する必要があります。

 

入居者層を見る視点
  • 単身者、学生、転勤者など初期費用を重視しやすい層か
  • 周辺物件もフリーレントを付けているか
  • 家賃より契約時の総額が比較されやすい物件か
  • 短期入居が多いエリアでは違約金条件も確認する

 

入居者にとって魅力的な条件でも、貸主側の収支に合わなければ継続的な運営に影響します。対象となる入居者層と収支の両面から判断しましょう。

 

繁忙期を逃した空室の対応

賃貸市場では、一般的に進学、就職、転勤などの動きが多い時期に入居需要が高まりやすい傾向があります。その時期を逃して空室が残ると、次の入居希望者が現れるまで時間がかかることがあります。

こうした場合、フリーレントを付けることで、入居時の負担を下げ、検討候補に入りやすくする方法があります。

ただし、繁忙期後の空室は、募集条件だけでなく、写真の見せ方、室内清掃、設備の状態、家賃設定、入居可能日なども影響します。

 

【繁忙期後に確認したい項目】

  • 募集開始から空室が続いている期間
  • 問い合わせ数と内見数の推移
  • 同じエリアで残っている競合物件の条件
  • 室内写真や設備情報が最新かどうか
  • 家賃と初期費用の総額が相場から外れていないか

 

フリーレントは空室期間を短縮する選択肢の一つですが、原因分析をせずに使うと、無料期間分の収入減だけが残る可能性があります。管理会社と募集状況を確認し、ほかの改善策と組み合わせて検討しましょう。

 

競合物件との差を出す方法

同じエリアに似た間取りや家賃帯の物件が多い場合、フリーレントは競合物件との差を出す条件として使われることがあります。入居者は、月額家賃だけでなく、入居時に必要な総額、設備、駅距離、築年数、管理状態、インターネット環境などを比較します。

フリーレントを付けると、初期費用を抑えたい層には分かりやすい訴求になります。ただし、競合との差別化は無料期間だけで決まるものではありません。室内の清潔感、設備の使いやすさ、管理の印象も入居判断に関わります。

 

差別化の方法 期待できる効果 注意点
フリーレント 入居時の負担を軽く見せやすい 無料期間分の家賃収入が減る
礼金見直し 初期費用全体を下げやすい 地域の慣習や収支への影響を確認する
設備改善 物件自体の魅力を高めやすい 初期投資額と回収期間を確認する
写真改善 募集ページの印象を変えやすい 実際の室内状態と一致させる必要がある

 

競合物件との差を出すには、フリーレントだけに頼らず、入居者が比較している項目を把握することが大切です。条件を変える前に、募集資料や現地の見え方も確認しましょう。

 

収支への影響を計算する

フリーレントを使うかどうかは、空室対策としての効果だけでなく、収支への影響を計算して判断する必要があります。無料期間を設けると、その期間の家賃収入は減ります。

一方で、空室が長引く場合と比べると、早く入居が決まることで結果的に損失を抑えられる可能性もあります。たとえば家賃80,000円の物件で1カ月フリーレントを付ける場合、無料期間分の減収は80,000円です。

 

これに対し、空室が2カ月延びれば160,000円の家賃収入が入らない計算になります。ただし、実際には管理費、広告費、原状回復費、ローン返済、固定資産税なども関わるため、単純な家賃額だけで判断しないことが大切です。

投資家側は、無料期間、想定入居期間、毎月の返済額、経費を含めて試算しましょう。

 

確認項目 計算に入れる内容 見落としやすい点
無料期間 免除する家賃の月数と金額 日割り扱いになる場合の計算
入居期間 何カ月住んでもらえる前提か 短期解約時の収支悪化
経費 管理委託費、修繕費、広告費など 家賃が入らない期間も費用が出ること
返済 ローン返済額と手残りの余裕 無料期間中の資金繰り

 

無料期間分の家賃減少

フリーレントを設定すると、無料期間分の家賃収入は減少します。計算自体は分かりやすく、月額家賃に無料月数を掛けて確認します。たとえば月額家賃80,000円の物件で1カ月無料なら80,000円、2カ月無料なら160,000円の家賃収入が減る計算です。

ただし、実際の契約では月途中の入居や日割り家賃が関係する場合があります。また、管理費や共益費を免除しない場合は、家賃部分だけが減少することになります。投資家側は、無料期間の見た目だけでなく、年間収入に対する影響を確認しましょう。

 

家賃減少を計算する前提
  • 月額家賃がいくらかを確認する
  • 無料期間が何カ月分かを確認する
  • 管理費や共益費を含めるかを確認する
  • 日割り家賃の扱いを確認する

 

フリーレントは空室期間を短縮できれば有効に働く場合がありますが、無料期間が長いほど回収に必要な入居期間も長くなります。最低限、年間家賃収入と毎月の返済計画に反映してから判断することが大切です。

 

賃料を下げる場合との比較

フリーレントを検討するときは、賃料を下げる場合との比較が欠かせません。家賃を下げると、入居者にとって毎月の負担は軽くなりますが、貸主側は入居期間中ずっと収入が減ります。

一方、フリーレントは初期の減収にとどまりやすいため、長期入居が見込めるなら賃下げより収支を保ちやすい場合があります。たとえば家賃80,000円の物件で1カ月フリーレントなら減収は80,000円です。

家賃を月3,000円下げた場合、24カ月入居で72,000円、36カ月入居で108,000円の減収になります。これは一例であり、地域相場や入居期間によって結果は変わります。

 

施策 収支への影響 向いている可能性がある場面
フリーレント 無料期間分の減収が初期に発生する 初期費用を下げたい入居者に訴求したい場合
賃下げ 入居期間中の毎月家賃が下がる 家賃が相場より高く、反響が少ない場合
礼金見直し 契約時の収入が減る場合がある 初期費用総額を下げたい場合
設備改善 初期投資が発生する 物件価値や入居満足度を高めたい場合

 

比較するときは、目先の申込数だけでなく、入居期間中の合計収入で見ることが大切です。管理会社と周辺相場を確認し、複数の条件で試算しましょう。

 

入居期間で回収できるか

フリーレントの効果を判断するには、無料期間分の家賃減少を入居期間中に回収できるかを見る必要があります。たとえば家賃80,000円、1カ月フリーレント、管理費・共益費は別途支払いという前提では、初期に80,000円の家賃収入が減ります。

その後、入居者が長く住めば毎月の家賃収入で回収しやすくなりますが、短期間で退去されると、空室募集費用や原状回復費が重なり、収支が悪化する可能性があります。そのため、賃貸借契約では短期解約違約金の設定が検討されることもあります。

 

【回収可能性を見る項目】

  • 無料にする家賃額と月数
  • 想定する入居期間
  • 再募集時に発生する広告費や原状回復費
  • 短期解約時の違約金条件
  • 毎月のローン返済後の手残り

 

フリーレントは、長く入居してもらえる前提で効果を見やすい施策です。入居者の属性、エリアの入退去傾向、過去の平均入居期間を参考にしながら、無理のない条件か確認しましょう。

 

利回りとキャッシュフローへの影響

フリーレントは、利回りとキャッシュフローの両方に影響します。表面利回りは年間家賃収入を物件価格で割って見る指標ですが、フリーレントを付けると初年度の家賃収入が減るため、実際の収入ベースで見た利回りは下がります。

また、キャッシュフローとは、家賃収入からローン返済、管理費、修繕費、税金、保険料などを差し引いた手残りのことです。無料期間中も返済や保有コストは発生するため、資金繰りに余裕がない物件では注意が必要です。

 

収支で見落としやすい点
  • 表面利回りだけでは無料期間の影響が見えにくい
  • 初年度の実収入は想定家賃より少なくなる
  • ローン返済は家賃が入らない期間も続く
  • 短期解約があると再募集費用も重なりやすい

 

不動産投資では、満室想定の利回りだけで判断すると、実際の手残りとのズレが生じやすくなります。フリーレントを使う場合は、初年度収支、通常運営時の収支、再募集時の費用を分けて試算しましょう。

 

契約条件で確認する点

フリーレントを導入する場合は、募集広告の見せ方だけでなく、賃貸借契約書にどのような条件を入れるかが重要です。

貸主側は一定期間の家賃を免除する一方で、短期間で解約されると、無料期間分の家賃減少に加えて、再募集費用や原状回復費が発生する可能性があります。

そのため、短期解約違約金、免除する費用の範囲、広告費や仲介条件との関係、入居者への説明内容を整理しておく必要があります。条件が曖昧なまま契約すると、入居後に「無料になると思っていた費用が違う」「解約時の負担を聞いていない」といった認識違いにつながることがあります。

 

契約条件で確認する要点
  • フリーレント期間と対象費用を明記する
  • 短期解約時の違約金条件を確認する
  • 広告費や仲介条件を収支に反映する
  • 入居者へ誤解のない説明を行う

 

短期解約違約金の設定

フリーレントを付ける場合、短期解約違約金の設定は重要な確認点です。短期解約違約金とは、借主が一定期間内に解約した場合に、契約で定めた金額を支払う条件のことです。

貸主側から見ると、無料期間を設けて入居を促したにもかかわらず、短期間で退去されると、家賃収入の減少と再募集費用が重なりやすくなります。そのため「契約開始から一定期間内の解約は、免除した家賃相当額を支払う」といった条件が設けられることがあります。

ただし、違約金の内容は契約の合理性や説明の分かりやすさが大切で、過度な負担にならないよう注意が必要です。

 

確認項目 見ておきたい内容
対象期間 契約開始から何カ月以内の解約を短期解約とするか
違約金額 免除した家賃相当額なのか、別の金額設定なのか
説明方法 賃貸借契約書や重要事項説明で明確に伝えられているか
収支への影響 短期退去時に再募集費用や空室期間が重ならないか

 

免除する費用の範囲

フリーレントでは、どの費用を免除するのかを明確にする必要があります。一般的には家賃部分を無料にする条件として使われることが多いですが、管理費や共益費、駐車場代、駐輪場代、町内会費、保証会社の保証料、火災保険料、鍵交換費用などは別扱いになる場合があります。

入居者は「フリーレント」と聞くと、初月に支払う費用全体が無料になると誤解する可能性もあるため、募集時点から表記を分かりやすくすることが大切です。

不動産投資では、免除範囲を広げるほど初期の収入は減ります。貸主側は、入居促進効果と収支への影響を比較して条件を決めましょう。

 

免除範囲で注意したい点
  • 家賃のみ無料か、管理費・共益費も含むか
  • 駐車場代や付帯費用は別途必要か
  • 保証料や保険料など契約時費用は対象外か
  • 日割り家賃の扱いをどうするか

 

広告費や仲介条件との関係

フリーレントを使うときは、広告費や仲介条件との関係も確認しておく必要があります。空室対策では、フリーレントだけでなく、広告料、仲介会社への条件、募集サイトでの見せ方、管理会社への委託内容などが組み合わさることがあります。

たとえば家賃80,000円の物件で1カ月フリーレントを付け、さらに広告費を家賃1カ月分とする場合、初期段階で合計160,000円相当の負担が発生する計算になります。

これはあくまで一例ですが、無料期間と募集費用を別々に見ていると、実際の手残りを見誤る可能性があります。

 

項目 貸主側の負担 確認する理由
フリーレント 無料期間分の家賃収入が減る 初年度の家賃収入に影響するため
広告費 仲介会社や管理会社への募集費用が発生する場合がある 入居決定時の実質負担を把握するため
仲介条件 募集活動の優先度や紹介条件に関係することがある 反響数だけでなく費用対効果を見るため
管理委託費 入居後も毎月の管理費用が発生する キャッシュフローに反映するため

 

入居者への説明内容

フリーレントは入居者にとって分かりやすいメリットに見えますが、説明が不足すると契約後の認識違いにつながる可能性があります。

貸主側や管理会社は、無料になる期間、無料になる費用、支払いが必要な費用、短期解約時の違約金、更新時の家賃条件などを明確に伝える必要があります。

特に募集広告では短い文言で訴求されるため、申込前後の段階で詳細条件を確認してもらうことが大切です。投資家側も、管理会社に任せきりにせず、自分の物件でどのような説明がされるのかを把握しておきましょう。

 

【入居者に伝えるべき内容】

  • 何月分の家賃が無料になるのか
  • 管理費や共益費は支払い対象か
  • 短期解約時に違約金が発生するか
  • 無料期間終了後の通常家賃はいくらか
  • 契約書のどこに条件が記載されているか

 

説明内容が整理されていると、入居者も契約条件を理解しやすくなります。結果として、入居後の問い合わせやトラブルを減らしやすくなります。

 

使う前に整理する判断軸

フリーレントを使う前には、空室の原因、家賃相場とのズレ、修繕や設備改善との比較、長期保有や売却時の影響を整理することが大切です。フリーレントは入居時の負担を下げる施策ですが、物件の根本的な問題を解決するものではありません。

たとえば、家賃が相場より高い、設備が古い、室内写真が不十分、管理状態に不安があるといった場合は、無料期間を付けても申込につながりにくいことがあります。

また、家賃収入の一部を免除するため、ローン返済中の物件では資金繰りにも影響します。使うかどうかは、管理会社の提案だけで決めず、収支と募集状況をあわせて確認しましょう。

 

判断軸 確認する内容
空室原因 反響が少ないのか、内見後に決まらないのかを分けて見る
家賃相場 同じエリア、面積、築年数の物件と比較する
改善策 フリーレント、賃下げ、設備改善、写真改善を比較する
出口戦略 家賃水準や入居条件が将来の売却評価に影響しないかを見る

 

物件の空室原因を見極める

フリーレントを導入する前に、まず物件の空室原因を見極める必要があります。空室が続いている理由は、初期費用の高さだけとは限りません。

募集ページの写真が暗い、間取りの魅力が伝わらない、設備が古い、周辺相場より家賃が高い、駅からの距離や生活利便性が弱い、内見時の印象が悪いなど、複数の要因が重なっていることがあります。

原因を整理せずにフリーレントだけを付けると、無料期間分の家賃を失っても申込につながらない可能性があります。

 

【空室原因を整理する手順】

  1. 募集開始日と空室期間を確認する
  2. 問い合わせ数と内見数を確認する
  3. 内見後に申込が入らない理由を管理会社へ聞く
  4. 競合物件の家賃、初期費用、設備を比較する
  5. フリーレントで解決できる原因か判断する

 

空室原因が初期費用の負担にあるなら、フリーレントが選択肢になることがあります。一方で、設備や清掃状態が原因なら、別の改善策を優先したほうがよい場合もあります。

 

家賃相場とのズレを見る

フリーレントを使う前には、現在の募集家賃が相場から大きく外れていないかを確認しましょう。家賃が周辺の類似物件より高い場合、フリーレントを付けても入居者は毎月の負担を重く感じる可能性があります。

反対に、家賃水準が相場に近く、初期費用だけがネックになっている場合は、一定期間の家賃免除が検討材料になることがあります。比較するときは、同じエリア、駅距離、専有面積、築年数、階数、設備、管理状態が近い物件を確認することが大切です。

 

比較項目 確認する視点
月額家賃 同条件の物件と比べて高すぎないか、安すぎないか
初期費用 敷金、礼金、保証料、前家賃を含めた総額が重くないか
設備 エアコン、インターネット、浴室、キッチンなどが競合に劣らないか
募集条件 フリーレント、礼金なし、更新条件などに差がないか

 

家賃相場とのズレを見ずにフリーレントを付けると、問題の原因を見誤る可能性があります。入居者が比較する総額と月額の両方を確認しましょう。

 

修繕や設備改善と比較する

フリーレントを使うかどうかは、修繕や設備改善と比較して判断することも大切です。入居者が物件を選ぶときは、初期費用だけでなく、室内の清潔感、設備の新しさ、収納、インターネット環境、セキュリティ、共用部の印象なども確認します。

たとえば家賃80,000円の物件で1カ月フリーレントを付ける場合、80,000円相当の収入減が発生します。

同じ金額を使って室内クリーニングの質を高める、古い設備を一部交換する、写真撮影を改善するなどの選択肢も考えられます。どちらが入居決定に近いかは、物件状態やエリアの需要によって変わります。

 

比較したい改善策
  • フリーレントで初期費用を下げる
  • 古い設備を交換して物件の印象を高める
  • 室内写真や募集文を見直す
  • 清掃や小修繕で内見時の印象を改善する

 

フリーレントは短期的な募集条件の改善に向いていますが、設備改善は物件の魅力そのものを高める可能性があります。費用と効果を分けて考えることが重要です。

 

長期保有と売却時の影響を見る

フリーレントは空室対策として使われる一方で、長期保有や売却時の見え方にも影響することがあります。売却時には、買主がレントロールや賃貸借契約書を確認し、現在の賃料、入居期間、契約条件、短期解約違約金の有無などを見ることがあります。

フリーレントによって入居が決まっていても、実質的な家賃収入や初年度収支が分かりにくい場合は、買主側が慎重に判断する可能性があります。

また、フリーレントを頻繁に使わなければ入居が決まりにくい物件は、家賃水準や物件競争力に課題があると見られることもあります。

 

視点 長期保有で見る点 売却時に見られやすい点
家賃収入 通常家賃で安定して入居が続くか 実際の収入がレントロールと整合するか
契約条件 短期解約や免除範囲が明確か 買主へ説明しやすい条件か
物件競争力 無料期間なしでも反響が取れるか 空室対策に依存していないか
収支計画 ローン返済後の手残りが不足しないか 利回り計算の前提が過大でないか

 

フリーレントは一時的な募集施策として有効に働く場合がありますが、継続的に使う前提では収支や出口戦略に影響します。長期保有する場合も売却を見据える場合も、契約条件と実収入を記録しておきましょう。

 

まとめ

不動産投資のフリーレントは、空室対策として活用されることがありますが、無料期間分の家賃減少や短期解約時のリスクを含めて考える必要があります。

単に入居を増やす施策として見るのではなく、賃下げとの違い、広告費や管理費の扱い、入居期間で回収できるかを確認することが大切です。導入前には空室原因や家賃相場を見直し、管理会社などに相談しながら契約条件を整理しましょう。